飲食店業界は相変わらず「勝ち組」と「負け組」にわかれる二極化なのか。最近は
次の予約は数ヶ月先
という、閑古鳥の来襲に堪えている多くの店にとっては信じられない店が増えてきております。しかもそれらの店はほとんどが客単価2万円円以上の
高額店
でありますから、閑古鳥常連の廉価な店主には羨ましい限りではないでしょうか。代表的な店を東西で挙げると
鮨 三谷と祇園 川口
でありましょうか。「鮨 三谷」はたまにこのブログで取り上げるように、店で再訪の予約を入れても夜なら
11ヶ月先
と海外旅行よりスケジューリングが難しいのですから呆れます。食べログに載っているので紹介制でも書いちゃいますが、この「祇園 川口」も
10ヶ月以上先でないと予約が入らない
と聞きました。昨年久々に訪問しましたが、女将と主人の間合いは健在。あの「新ばし しみづ」(旧店名 鮨処しみづ)の主人も未だ通っているのでしょうか。
1年近く待たされても行くべきかどうかは個人の判断でありますが、これはある意味
異常事態
と考えます。もともとは亡き「エル・ブジ」が諸悪の根源。巧妙な予約システムである
予約受付日(時間帯)の制限とリピーターには優先的に予約を入れるという優遇
で予約困難店を造り上げてしまった。そしてそれを真似るかのように日本にも予約を制限する店が出てきて高額な予約困難店が増殖してしまったのであります。
ざっと思いつくだけでも上述の2店のほかに
かわむら、京味、くろぎ、 啐啄 つか本、未在、鮨 さいとう、カンテサンス、あら輝
などなど。最近は特にこれらの店の予約が取りにくくなったようで、数ヶ月先に入っていた予約が
半年先
まで入らなくなった店もでてきました。 友里は年に数回、主にフランスやイタリアの星付き店(3つ星も)を訪問しておりますが、せいぜい2ヶ月前に充分予約が入る現実をみると
日本は異常としか思えない
のであります。これはひとえに「予約困難」ということ自体に行く価値を見いだす(釣られる)
友里みたいなミーハー客の存在
が問題。極端な話、満席偽装や身内を使えば短期間は満席を装えますから、そのような店のすべてが
美味しい店、行く価値のある店
とは限らないのであります。逆に簡単に予約が取れる店でも美味しい店があるという現実。たとえば
もりかわ
同じ紹介制でありながらも、この店が予約困難と感じたことはありません。鮨でも「さいとう」と大差ない食後感の店として同じグループの
真魚
があります。ここはおそらく、その日の飛び込みでも入店できるのではないでしょうか。フレンチで言いますと、
セゾン、アピシウス、レカン、シェ・イノ
などは、ソースも出て予約が簡単でありますから
ソースが出なくて予約困難なカンテサンス
へ行くより賢明なのではないか。ステーキでいいますと「かわむら」が予約困難で訪問は至難の業と言われておりますが、河村氏が店長をやっていた「ゆたか」は簡単に予約が入ります。この違いはどこから来るのか。
友里のように、仕事としてネタ探しでこのような予約困難店を訪問するのは仕方ないとして、一般客がわざわざ数ヶ月先、半年先の訪問を目指すものなのか。
すべての店とは言いませんが、これら予約困難店のいくつかは
単なる小キャパや演出
で造り上げられた可能性がるということを、一般客は理解するべきでありましょう。
換言しますと、「グルメの嘘」(新潮社)や「グルメの真実」(宝島社)でも書いておりますが、
大箱は廉価店でしか通用しない
のであります。その廉価店でも最近は小キャパ化しておりますから、大箱で集客に苦しんでいる店は小キャパ化のため移転を考えるのも良いかもしれません。