銀座の鮨屋 短評編 2

すし 椿
あまり評名の通っていない寿司屋に居た人を雇われ主人として抜擢したお店。カウンターが2か所に配置されている結構大箱な接待に向いている寿司屋であります。なぜか19時頃から、「女将」と称する人が出没し客にあいさつ回りをしていた場面に何回も遭遇しました。普通の鮨屋では見られない光景です。
この店も自家製カラスミ含めてツマミが豊富。次から次へと出てくるツマミに合わせて飲み続けると、それだけでお腹が一杯になる危険があります。
鮨タネはどちらかというと海鮮系に近いかも。種類は豊富であります。
酢飯はやや甘く、江戸前至上主義を唱える鮨通の評価は厳しいのではないか。
結構支払いも高く、好きな太巻きをオミヤにすると3万円を超えるでしょう。
鮨 青空(はるたか)
「すきやばし 次郎」で二郎さん、長男の次の3番手だった人が昨年独立しました。修業店の悪い点を修正、少ない良い点を継承したおススメ鮨屋です。
あの二郎さんや長男の威圧感を封印、ツマミにアン肝など酒肴も用意するなど「次郎」では考えられない営業方針。勿論酒飲みにも寛容で、2時間は粘れます。タネの仕事や酢飯も「次郎」と大差なく、支払は半額近い2万数千円ですから驚きです。
ではなぜ「次郎」のやり方を大きく修正したのか。主人はあのやり方(態度のデカさと客せかしに破格の高額請求営業)ではやっていけないと自覚しているからでしょう。
奈可田
銀座 奈可久、六本木 奈可久の修業元。元祖「氷柱」でしょうか。
ガラス戸はイマイチですが、内装はいかにも高額鮨屋といった感じ。
年配の常連が多いのではないか。主人を含めて職人や女性スタッフの数も多く、接待に向いているというか、接待専門に近い鮨屋であります。
極上な質ではないがまずまずのタネ。決してタネ数は多い店ではありません。
その日によって、もしくは職人によって支払額はかなりばらつきます。
ツマミ、握りで昼で2万円?3万円弱、夜は太巻きのオミヤを入れて3万円を超えました。
きよ田
伝説の雇われ職人、藤本繁造氏や、魚嫌いで自己流ながらこの店で雇われ主人をしていたのでなぜか過大評価されている新津武昭氏などを輩出した銀座の高額鮨屋。政財界のお偉方のサロンとしても有名だったそうです。
新津氏引退の後店じまいしましたが、マグロの仲卸の仲介で柏の寿司屋が暖簾を引き継ぎました。しばらくは「新きよ田」としていたのですが、昨年か一昨年、満を持して「きよ田」に戻しております。
勿論今つけ場で握っている主人は柏の寿司屋の元主人のはずです。
タネ質、特にマグロの質を誇っている鮨屋ですが残念ながらタネ数は非常に少ない。年配や小食な方でない限りツマミ、握りと食べて満腹になるかどうか。
自腹でない政財界のオジイちゃん達のサロンだった意味がわかります。
エビスと日本酒を飲んで、3万5千円。一応、紹介性のようです。
GINZA 鮨一
1階入り口のインターホンを押してからでないと入れない隠れ家的な鮨屋。
創作系のオツマミが多いので、正統江戸前とは言えないでしょう。職人の一人は札幌の「すし善」出身と聞きました。
カニクリームコロッケ、ホースラディッシュ(山わさびと言っている)など変わったものが出てきます。樋長から仕入れているという鮪の質はまずまずながら、他のタネ質はそう高いとは思えません。
昼夜とも値段を開示したコースがあるので支払はお任せやお好みを頼まない限り明朗です。
予算は昼で1?1.5万円、夜は2?2.5万円でしょうか。トビコの入った太巻きはあまりおススメできません。
やまいち
茨城県ひたちなか市(旧那珂湊)にあった照鮨さんが銀座に進出。
昼は前日までの予約のみ開業で、握り主体で1万5千円。夜はツマミや焼き物付きで2万円コースと一応明朗。
赤酢に黒酢を使っていると思われる酢飯は特徴的。タネ質は中の上くらいか。
煮切り、ツメ、炒り酒と3種を握りに使用しているのも面白い。
いやこの店の一番の特徴は、茨木訛りの主人のトークであります。乗ってくれば爆笑劇場に早変わり。
純粋に鮨を楽しむ店ではないかもしれません。
(つづく)