規制緩和は本当に経済発展の救世主なのか

昨日の関越道でおこったツアーバス事故。死者7人、重傷14人(うち重体3人)、軽傷24人と大惨事になってしまいました。
新聞(読売)やTV報道では、事故原因は運転手の居眠りによるもので当時は1名での夜間運行だったとか。参入業者の増大による

値引き競争激化

が運転手に過重負担をかけていることが問題だとのことでありました。

新聞の掘り下げはここまでですが、友里はより突っ込んでみたいのです。なぜ参入業者が増大したのか、それはTPP参加を国民に煽っている大マスコミがその理由として挙げている

規制緩和

なのであります。貸し切りバスツアーを2000年に

免許制から許可制

にした直後に事業者数は倍近くになったとか。その後も順調に事業者が増えていったのは想像するに難くない。
今の世は資本主義でありますから価格は

需要と供給の力関係

で決まるのは誰もが認めるところ。いくらツアーバスの利用者(需要)が不景気の長期化で増えているといっても、何倍にもなった事業者(供給)間では客を奪い合って競争が激化するのは当たり前であります。
規制緩和の推進者はその最大のメリットとして、競争によって客を確保したいが為の

サービス向上(農業などでは品質向上)

にあると力説しておりますが、本当にそうなのか。多少時間がかかって深夜移動となっても、この長期化する不景気の中では居心地や安全といったサービスより、飛行機や電車の数分の一の出費ですむ

低価格

を選択する人が多くなるのは当たり前ではないでしょうか。彼ら規制緩和信奉者は、規制緩和のメリット(サービス向上)を

好況時しか想定しておらず、不景気のデフレ時は想定外

なのであります。また

市場の縮小(人口減少などパイが減ること)

も想定していない。そしてもう1つ問題がありました。国交省ではこの規制緩和のため

監査員を増員して監査体制を強化

したというのです。事業者が生き残る為にとるかもしれない悪質な違反などを取り締まり、業界の指導強化をしたいようですが、これでは

規制緩和→役人の増大

となっているではありませんか。規制緩和によって自由な競争で健全な市場経済を目指すつもりが、実態は事業者間の消耗戦となり

サービス低下と役人増大をもたらすだけ

とは正に本末転倒であると友里は考えます。
友里はTPP推進者はじめ規制緩和信奉者に言いたい。

世には良いところばかりのものは存在しない

ということ。環境(この場合は不景気)によっては

デフレだけであとはデメリットしか発生しない

こともあるということを骨身にしみて感じ取ってもらいたいと考えるのであります。
農業、畜産、工業製品からサービスや金融まで過半を規制緩和してしまって果たして

質低下という大きなデメリット

が発生しないと確約できるのか。確かに輸出に活路を見いだしたい経団連などは規制緩和によってパイが広がるからメリットがでてくるでしょうが、日本国民一個人としては

メリットよりデメリットの方が多い

と考えるのであります。経団連所属企業の幹部連中は、規制緩和によって得た会社利益の配分(役員報酬や役員賞与)で潤いますから、その資金力で

高質な高額製品

を買うことが出来るでしょう。バスツアーでもバスの装備や予備運転手の有無によって、

価格差は数倍も違う

と言われております。
経団連所属企業の幹部関係者は潤沢な資産から規制緩和によるデメリットを排除(質が低下したものを避け高いものが購入できる)できるでしょうが、幹部ではない一般人にはそのようなことは出来ません。

経団連の主張=高額な役員報酬や役員賞与を得たい一部の人たちの自己都合

と疑ってかかることが、純粋無垢な国民にならないための第一歩であります。