私物化は首相だけではなかった

「私を取るか、小沢をとるか」と吠えて見事に敗れたのに居座る安倍首相、批判の嵐の中「続投して私の使命を果たしたい」と誰も頼んでいないのに勝手に居座ってますます事態を悪化させています。日本は「王国」だったのか、もう、風を読めないだけでは説明できない領域へワープしてしまった安倍さんですが、日曜の朝番組では「小さい時に庶民生活をしらない人はリーダになれない」といった珍説まで飛び出してその考えられない挙動を解説しておりました。
しかし私の周りには、小さいとき普通の人だったのに私物化にはしる人がいるようです。今日は知り合いから相談された一企業と一弁護士の話ですが、飲食業界だけではなく如何にこの日本が自分勝手、いい加減な体質になってしまっているかの実例として紹介します。
株主で取引先でもある会社が、ある東証の上場会社の最高幹部役員達が個人的感情で経営判断をしていることに対する問題提起をしたと思ってください。週刊誌や夕刊紙が注目しない知名度の低い会社なので上場しているといっても実名をあげませんが、実力役員が株主や会社、社員の利益を考えず個人的感情で重要事項を判断していると考え、公正な第三者の判断を仰ぎたいと裁判所に申し立てたのです。
ところが相手方(上場会社)の代理人として現れた弁護士を見てビックリ。なんと「顧問弁護士」から兼任で就任したその会社の「監査役」なんですね。ご存知のように非常勤の社外監査役といっても「監査役」の職務は、会社の業務執行を株主から委託された「取締役」の職務を「監視・監督」することであります。事によっては取締役と毅然たる態度で対峙しなければなりません。株主代表訴訟をするまえにまずは「監査役」に取締役の是非を問うくらいですから。
それなのに、その「監査役」がホイホイと、自分が監視・監督しなければならない「取締役」の依頼・指示を受けて「取締役の代理人」になってしまうのですから、コンプライアンスも何もあったものではありません。「顧問料」に加えて「監査役報酬」も貰って、株主の利益と相反するかもしれないのに役員に尻尾を振る「弁護士監査役」。これでは、原稿料や印税をもらいながら飲食店や料理人と利益的に結びついて読者を裏切っているグルメ評論家・ライターたちと同じではありませんか。グルメライターの原稿料や印税は料理人や飲食店から出ているのではありません。同じく、「監査役の報酬」は、特定の「取締役」が個人的に出しているものではなく、株主や社員のものである「法人」が出しているのですが、この弁護士も「勘違い」しているんですね。癒着は料理人とグルメライター間だけではなく、監査役とその会社間にもあったということです。
弁護士と言えば社会的信用もある職業。更なるノブレス・オブリージュを求められる立場だと思うのですが、「矜持」を捨てて「お金」と上場会社の監査役という「名誉」に奔った弁護士とそれを唆した取締役たち。本当に知的レベルが低いというか、こんなことが平然と行われている現実を見逃している社員や株主も問題ですが、金儲けに奔って「真実追及や公平性」を捨てた弁護士はよりひどいと言えるでしょう。
政府トップや飲食業界だけではなく実業や法曹界の一部も公の利益を考えず私物化しているという一例でありました。
色々聞いたところ、上場会社での顧問弁護士の「兼務監査役」、結構あるそうなので実業界自体のコンプライアンスが問われるところを考えます。