最近、犬養裕美子さんの店や料理人を無理に持ち上げた記事を目にすることがありませんでした。
よく考えてみれば、彼女のホームグランドは女性誌主体。友里が普段読む雑誌で出くわす機会はほとんどないのです。何か物足りない日々だなと思っていたのですが、読者の方から、「エル・ジャポン 7月号」に突っ込み満載の犬養ネタがあると連絡をいただき、この女性誌をはじめて購入しました。
若手シェフの注目店を7軒紹介する企画でありますが、書き出しに「今、最も女性から信頼されるレストラン・ジャーナリスト」と犬養裕美子さんが紹介されています。確かに男性で彼女の店評価というかヨイショ記事を信頼している人はほとんど居ないと思うのですが、女性で信頼している人が多いと言い切ってしまっていいのでしょうか。私が考えるに、「女性誌を出版している会社の編集者」だけが、何を間違えたか彼女を信奉、仕事を依頼しているに過ぎないと考えます。というか、彼女に執筆依頼すると雑誌が売れると勘違いしているのでしょう。未だにジャイアンツ戦が視聴率とれると勘違いしているTVマンと同じです。
いや、もうそんな化石のTVマンは絶滅に瀕していると思いますけど。
彼女はTVの番組にも出ているようですから、俄グルメの放送作家にもウケがいいのかもしれません。そこそこレストランで食べなれた方であるならば、男女に関係なく彼女の発言はおかしいと感じられるはずです。最近はまったく言わなくなりましたが、何万軒も訪問して食べたとの自慢話、数学を勉強された方ならば、男女を問わずそれが如何にいい加減な戯言かお分かりになるはずです。
今回の記事では、持ち上げた7人の料理人の正当性を示すため変な理屈をこねております。
「若く経験不足を感じているので、彼らは自分で素材を選び、考える意欲にあふれている」、と。
素材を探すこと、手に入れることに努力を惜しまない、多くを勉強しようと時間もお金も惜しまない、と力説しています。
いやに前のめりしすぎた記述。若くない料理人は、素材探求も勉強も若い彼らより怠っているというのでしょうか。そんなはずがないことは、雑誌の編集者や放送作家でない、賢明な男女を問わない読者の方にはご存知のはず。老若関係なく、あくまで個人の考え方、性格によるものです。若くなくとも日々精進している方はいらっしゃいますし、若くても天狗になって精進していない料理人は決して少なくないのです。
また、犬養さんは、「彼らが修業してきた店より高い料金はつけない。それが師匠に対する礼儀だから」と力説しています。彼女は、お気に入りの「メゾン ド ウメモト上海」の修業先、「シェフス」へ行ったことがあるのでしょうか。単品料理が主体で、最高でも上海蟹シーズンの蟹ミソチャーハンや蟹が5千円前後。「ウメモト」のように最高3万円近くするコースを出す店ではありません。
素材を考えるなら、わざわざオフシーズンにまで「冷凍蟹ミソ」を出す必要があるのか。いくら科学が進歩したといってもそこは冷凍物。年中単価の高くできる「蟹ミソ料理」を出したいだけの浅知恵であります。
この雑誌ではもう一つ面白い読み物がありました。「美食の王様」もとい、「美食のオコチャマ」の来栖けい氏が、この「ウメモト」で出版記念パーティを開いたときの様子を書いています。しかし、このパーティには、彼が本でイチオシしているメーカー関係者が参加しているんですね。商品も提供しています。
彼が昔からHPでも推薦文を書いて販売に一役買っていた「ルセット」。めでたく「パン本」では第一位にランクしていますが、ここの女社長はわざわざパーティへ参加し、挨拶までしていたと聞きました。
完全に官民癒着というか、店・ライター癒着の構造。若さゆえに、祭り上げられたらその喜びが忘れられなく歯止めが効かなくなるようですが、「美食のオコチャマ」を信じる人も男女を含めた読者にはほとんどおらず、放送作家や似非グルメ作家、そして女性誌の編集者くらいしかいないということをここに付け加えさせていただきます。