法人税減税を再度考える

昨晩ベッドで考えていたのですが、どうしても納得できないといいますか、理屈が通らないとの結論に達したので本日はこのお題とさせていただきます。
政治ネタは門外漢と言われますが、零細とは言え企業の代表者である友里。法人税問題とは無縁ではありませんのでしっかり書かせていただきます。

昨年のブログで書きましたが、政府の方針として法人税減税が決まったその前提は

日本の法人税率は世界であまりに高い

であります。
確かに税率だけを考えたら世界随一かもしれませんが、GMの倒産を見るまでもなく、アメリカの企業は税だけではない大きな負担を負わされていることには注目されておりません。まあこれは本日のテーマとしては無視するとして、法人税が高いことがなぜ

日本企業の国際競争力が弱くなる→日本企業が海外へ逃げる

に直結するのでしょうか。
以前も書きましたが、法人税は儲けた分(普通は経常利益 正確には税引き前利益)に対して掛けられるものです。
大小あわせた日本企業の7割は赤字であり法人税を払っておりませんので、この減税で恩恵を受けるのは3割だけです。再度確認させていただきますが、私は3割しかいないから減税は無駄だ、と言っているのではありません。
儲けた分にしか課税されない法人税をいくら減税しても、

交際競争力アップには直結しない

と言っているのです。
今は世界の消費国となった中国ですが、なぜ以前は世界の工場と言われていたのか。それは

人件費が破格に安かった

からであります。製品の競争力(安くしても利益が出る)は材料費や各種税制も影響しますが大きなウエートを占めるのがこの人件費であります。
つまり日本の国際競争力をアップさせるには、

超円安になるか人件費を無茶苦茶下げる

しかないのです。私は菅政権に聞きたい。

法人税を下げただけでなぜ競争力がアップするのか

と。風が吹けば桶屋が儲かるではないですが、

法人税を下げればそのうち人件費も下がる

と考えているなら、それはまどろっこしい政策ではないか。
このままの税率では日本企業がみな海外へ移転してしまうとの話も聞きます。確かに個人の場合は、

税金の安い国へ移る

高額所得者がいます。スポーツ選手などによく見られますね。
ではなぜ税金の安い国へ逃げるのか。それは

税金で稼いだお金の大半を持って行かれたら贅沢が出来ない

からであります。国によって制度が違うと思いますが、個人所得の場合は

経費

として控除される額が限られているので、イメージ的には

収入=課税所得

となってしまいます。しかし法人には多くの控除が認められているのです。
控除のさじ加減で納税額は変わりますし、個人と違って税金を支払った後の儲け(税引き後利益)の使い道がそんなにあるとは思えません。

法人組織の会社自体が個人のように贅沢をしたがるものなのか

私の素朴な疑問です。簡単に言ってしまえば

会社の経営者や株主が贅沢をしたがるため税引き後利益を増やしたいだけ

なのではないか。この際の贅沢とは

高額な役員賞与(最近は賞与を取らず報酬に合算して処理する企業も多い)
役員の更なる待遇向上
株主への高配当

と私は考えるのです。よって役員と株主以外のステークホルダー(一般社員や取引先など)にとっては

税率が高くても安い国へ移転する必要性がない

ことがおわかりいただけると思います。

前述したように会社は個人と違って経費として認められる項目が多い。たとえば人件費も立派な控除になります。ですからいくら法人税率が高くとも、控除で課税所得がゼロに近くなったら

納税額はゼロ

なのです。皮肉なことに、国際競争力をアップするため人件費を削ったら経費が圧縮されその結果経常利益が増えて

納税額も増えてしまう

ことになります。もう1つ、法人税が高いと

研究開発が阻害される

との話も聞きます。高い法人税のおかげで内部留保が圧縮され、研究開発費に回せないという話でしょうが、それなら

研究開発費の経費化をもっと促進

してあげればよいだけのこと。研究開発への投資を経費としてもっと認めるようにすれば、経常利益は圧縮されることになります。税金として払うより開発投資をしようと考えるようになりますから、法人税率を下げなくても結果は伴うと私は考えるのです。

本日の結論は

法人税率を下げても国際競争力は上がらない
法人税を下げなくても研究開発を促進することはできる

でありました。
ではなぜ意味のない法人税率を下げるのか。この理由は

法人税率減を錦の御旗にして、個人税率などをいじって税収を上げたかっただけ

と私は考えるのです。本日のブログは、あくまで友里征耶の狭い思考の中での結論でありますので間違っているかもしれません。

色々なお考えをいただければ幸いです。