日本の原発は高いところに建設できない

今朝のTVの報道を見て、私は椅子から転げ落ちそうになりました。
なんと仙谷民主党副代表の近辺では、自民党との大連立の動きがあり、その内容は以下のように自民党にも伝えられているというのです。?

首相は谷垣自民党総裁
官房長官も自民党から
仙谷氏は副総理
民主党の代表は輿石氏

という驚嘆な内容であります。
精神的に不安定だと言われておりますが、枝野氏を全面に立てながらも陣頭指揮を執っているように振る舞っている時の首相・菅さんはどうなってしまうのか。この大連立は

菅内閣の総辞職

が前提となっているとのことなので、これは仙谷の保身を賭けたクーデターのようなものでしょうか。それにしても菅さん、足下からこんな画策されているとしたら哀れと言うしかありません。輿石氏を代表に担ぐというのなら仙谷氏

小沢グループと握手

するということでしょうか。

他国から好意を受けるのに文句をつける気はありませんが、今回のフランス・アレバ社の女性CEOが発表した支援内容に私は驚きました。
技術者20名の派遣のほか、万単位の防護服や手袋、マスク、そして環境測定車などなど。
太っ腹と言えばそれまでですが、サルコジ大統領自らも緊急来日しての支援宣言。ヘソの曲がった友里は思わず

日本の原発市場を狙っているのではないか
もしくは福島第一の6基の廃炉処置の受注を狙っているのか

と思ってしまったのです。原子力先進国と言われているフランス。電力の過半を原子力で賄っていると聞きますから、今回の支援でその技術力と安全性を全世界、そして日本に売り込む

絶好の機会

と踏んだのではないでしょうか。今回の事故で原発自体の存在を疑問視され国内の原発メーカーの経営が心配されていますが、仮に原発を今後も造るというコンセンサスが日本国民からとれたとしても、その建設に

アレバ社が参入

してくると想像するのは友里の読み過ぎでしょうか。国内メーカーの悩みは更に深まると考えます。

さて表題に移ります。
今回の大震災による原発事故ですが、直接の揺れに寄るものではなく、その原因は津波にあったと言われています。

想定外の高さの津波

で発電所の緒設備がやられてしまったのですが、それなら原発を高いところへ造ればよいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そもそもなぜ海辺に造るのか。内陸なら津波は大丈夫だとの考えもあるでしょう。

アメリカやオーストラリアでは、海辺ではなく内陸に建っている発電所(火力も)が結構あるんですね。といいますか、海辺の発電所は少ないかも。
これは、タービン発電機を回すために必要な蒸気(ボイラーや原子炉で発生させる)を何で冷却するかで決まってしまうのです。以前のブログで、

原子炉やボイラー(蒸気になる)→タービン→復水器(ここからは水になる)→復水ポンプ&給水ポンプ→原子炉やボイラー

のクローズドサイクルであることは書きました。タービンを回して仕事をした蒸気は、復水器で非接触に他の流体に冷却され水に戻って再び加熱されるのですが、重要なのは復水器でその蒸気を冷やす大量な

冷却源

であります。これを海水にするか淡水にするか、もしく空冷の冷却塔(正確には水冷です)にするかの選択です。世には水をまったく使わず空冷だけのエアコンデンサーなるものもありますが、大容量には対応しておりません。

スリーマイルの原発だとネットの情報もあり良くわかるかもしれませんが、海外の他の火力発電所でも、大きな煙突のようなものから白い煙が出ている写真が見られるはずです。
これは原子炉やボイラーの蒸気ではなく、復水器で使用する冷却水(タービンを回す水蒸気ではない)が冷却塔を介して空気と熱交換した時に出る水蒸気なんです。

ご参考
http://www.nucleartourist.com/systems/ct.htm

海外はこのように土地の広さを利用した、海のように大きい河川や湖の水源を使用するか、大型の冷却塔を設置して蒸気を冷やしているのですが、狭い日本では大きな土地も大量の水源は内陸にはありません。
そこで無限に(実際は有限ですが)ある海水を利用するため海辺に原発や火力を造らなければならないのです。

では、その海辺でも高く土台を造ってその上に原発や火力を建設すれば良いではないかという意見がでてくるでしょう。しかし簡単に言いますと発電所は

海面から10数メーター以上のところには造れない

のです。復水器で蒸気を非接触に冷却する海水は大量に必要なのです。大きな立型ポンプ(循環水ポンプ)で取水口から汲み上げて復水器へ送り込むのですが、そのポンプは

大容量なだけに吐出圧力は高く出来ない

のです。大量の海水を送る循環水管や復水器の細管(冷却効果を高めるため表面積が大きくとれるよう細い菅に海水を流す)による圧力損失も計算しなければならず、高いところまで流せる大容量ポンプは常識的に製作不可能。

ではなぜ海抜10数メートルかと言いますと、簡単に言えば、海面から取水した海水が復水器を通し排水口へ戻すオープンサイクルの循環を

サイフォン効果

でまかなっているからなのです。
サイフォン原理(バケツの水をホースで移動する実験が学校であったはず?)は負圧の効果で発生しますから高さは10メーターが限界。つまり循環水ポンプで何とか海面から数メーター持ち上げて、あとはサイフォン効果で循環させるため

残り10メーター

しか発電所は持ち上げられないのであります。

内陸の土地が狭い、水力に必要な水源もそうはない、と日本の発電環境は非常に制約があるのは事実であります。
このような条件で日本の発電システムを今後どうしていくか。大きな問題だと私は考えます。

ちなみに昨年ブラジルに出張し、ブラジル国内の電力のほとんどを水力で賄っているということを実感してきました。あの無限とも思える水源があればクリーン発電だけでも充分なんですね。羨ましい限りであります。