家宅捜査だけではなく前会長の逮捕まで一気にいってしまった大王製紙特別背任事件。創業家の暴走であることは誰でもわかると思いますが、読売新聞に対し
企業統治の問題について語る資格があるのか
と友里は言いたい。まずは読売社説をご覧ください。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111122-OYT1T01296.htm
大王製紙では、取締役会や監査法人のチェック機能が働いていなかったことは事実でありますが、読売新聞自体がしっかりしたチェック機能を備えているというのか。今回の「清武の乱」に関して、読売新聞OBの堀紘一氏がTVのインタビューで
読売にはナベツネ派閥の社員しかいない
と言っておりました。ナベツネに異を唱える社員は粛正されてしまうそうです。
と言うことは、代表取締役をチェックする読売新聞取締役はすべてナベツネの息がかかった人だけということ。彼らにナベツネのチェックが出来ると考える純粋無垢な人が読売社員以外にいるとは思えません。
社外取締役がいるではないかという反論も友里は認めることは出来ません。それは一般に
社外取締役の人選もその会社の代表者がしている
からであります。規模の大小を問わずほとんどのケースで取締役就任は、会社側(はっきり言うと現経営陣)から株主総会でその人選案を議題に出して承認となります。(株主提案での取締役就任は非常にレア)
つまり、社外取締役を何人入れたとしても
代表者(実力取締役)のお友達やパシタ
ばかりですから、チェック機能が働くわけがないのです。彼らはしっかり
社外取締役報酬
を貰っていますしね。本来は会社から貰っているのですが、当人たちは自分を任命してくれた代表者や実力取締役から報酬を貰っていると思って忠誠を尽くすのは想像するに難くない。
代表者をチェックする取締役をチェックする監査役も取締役と同じで、実質会社側(代表者や実力取締役)が人選しますから、その存在に意味は全くないのです。では最後の砦、監査法人はどうかというと、これまた
頼りないの一言(最近はいくらか改善されたようですけど)
その理由は簡単。読売社説にも書かれておりますが、
監査法人を選任する権限も取締役会
が持っているからであります。選任の権限を取締役会が持っていると言うことは、その取締役会の選任の権限を実質持っている代表者や実力取締役が持っていると言うこと。読売新聞で言えば、
監査法人の選任権限もナベツネが持っている
と言っても過言ではないでしょう。監査法人はその会社から監査報酬を貰って業務を遂行しております。実際の雇い主にむかって
耳に逆らう諌言
をすることは難しい。下手して雇い主の機嫌を損ねたら、食い扶持の監査報酬を失ってしまうからであります。
大王製紙のように確かに創業家の暴走は許されるものではありませんが
一介のサラリーマン会長(社長時代もいれて)が20年も好き勝手やっている
のも問題であるということを読売新聞が自覚していないところが、悲劇であり喜劇であると考えます。
昨日のブログで、大王製紙前会長の財布はすでに空っぽではないかと書きましたが、会社側への損害金(85億円強)だけではなく、更なる高額な請求を受ける可能性があるのではないか。それは
株主代表訴訟
であります。現在は上場廃止の可能性もある監理銘柄になっている大王製紙。今回の特別背任事件の影響が証明できるなら、今後の株価の如何によって株主から
莫大な損害賠償請求訴訟
を起こされる可能性もあると考えます。規模は遙かに小さい零細企業でありますが、友里も他山の石とあらためて身を引き締めた次第であります。