友里征耶のワイン談義 3 ワイン会の参加費について2

今朝の段階ではありますが、円高が順調に進んでいるようです。81円台での値固めがされているように感じるのですが、政府の為替介入はもうないのでしょうか。こんな尻切れトンボで終わるなら、前回までの介入がまったく無駄となってしまうでしょう。

さて一昨日のブログで取り上げたワイン会の参加費の件。ワイン会主催者の儲けが目立つのはいかがなものかとの問題提起でありましたが、友里掲示板にはなんと

購入価格の7割で参加者に還元している

という太っ腹のワイン会主催者の書き込みがありました。使用されているHNを見る限り、ワイン会業界(こんな業界があるのか?)では有名な方だと推測します。

http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1286420541/93

道楽とは言えここまでの持ち出し(赤字)、ワイン会好きには神様みたいな人でしょうか。ただし、相場より高く買っていないという条件付きではありますけど。

さて本日私が取り上げるワイン会主催者は、ワイン経歴はそれほど長いとは思えないのですが、驚くべき主催数(月に20回近くやっている)でワイン会のビジネス化を目論んでいる方であります。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/

一目見ただけで商業ワイン会だとわかるのですが、昔はこれを本業としていないサラリーマンだったと聞いている主催者。当時は支払額に見合った内容のワインを提供されていて活況だったそうですが、ビジネス化の影響か、かなり参加感(CP)が落ちてきたと元参加者から漏れ聞きました。
しかしビッシリ企画されたスケジュールを見ると驚くばかりであります。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/semi/index.htm

回の数の多さも驚きでありますが、開催する店が半端なところではありません。予約が困難とされている「小十」、「湯島121」、「カ・セント」、「もめん」、「鮨さいとう」、「アニュ」のほか、あの「カンテサンス」でもワイン会をやってしまうようです。
店主やシェフの心を掴み、予約の別ルートを築いているのでしょうが、その努力には頭が下がる割に、不景気ながら結構満席になっていない企画があると言うのです。
なかでも象徴的な企画を取り上げてみましょう。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/semi/20101219.html

私がまずこの会に注目したのは目玉ワイン(この会は目玉以外のワインはたいしたものが出ないそうです)の85年のリシュブール(アンリ・ジャイエ)であります。

ブルータスはじめアホなマスコミが「ブルゴーニュの神様」とか「カリスマドメーヌ」とか煽ったからか、それまでは一部の愛好者に熱狂的に支持されていたアンリ・ジャイエ、この煽りを切っ掛けに値が跳ね上がり市場やレストランからも姿を消してしまいました。

トップキュヴェながら美味しいかどうかは別にして、このリシュブール、ロマネコンティより生産本数が少ないこともあって価格も存在も現在は幻化しております。特に85年はジャイエの中でも当たり年の一つであり、まずは友里

85年のリシュブールを出すのか

と驚いたのです。
ミーハーな友里、人気で希少となる前に結構ジャイエのワインを買い漁っておりまして、隠れたジャイエコレクターとして自信を持っておりました。もちろんこのワインも1本だけですが持っておりますが、もう二度と手に入れられないとセコく考えてしまって、飲む気が起こらずスルズルと2010年までになってしまった。飲み頃を逸した可能性のあるワインでありますが、募集している参加費を見て私は腰を抜かしたのです。なんと

105,000円(10名)

もするではないですか。説明では

時価100万円を超えるワイン

とあります。確かに現在手に入れようとすると本物かどうかは別にして時価は100万円かそれ以上かかるかもしれません。でもこのワイン、主催者は本当に100万円前後で購入したというのでしょうか。
株式会社化したとはいえ、大手グランメゾンでも100万円のワインをそうは簡単に購入できないでしょう。
しかもこの品薄ワイン、最近購入(つまり100万円前後)しようとしたら

ショップやマーチャントからではなくオークション

でなければ無理ではないか。名前が通っているオークション(クリスティーズとかシカゴとか)では絶滅しているはずで、個人出品に近い形での購入であると推測します。(あくまで100万円近くで本当に購入したとして)
嫌味になるかもしれませんが、友里の85年のリシュブール(アンリ・ジャイエ)の購入値は71,000円。10数年前はこんなレベルだったのです。

主催者当人は?

まだまだ若い

と推測しているようですが、ジャイエコレクターとして言わせていただくと

ジャイエのワインは長熟ではない

ギイ・アカの提唱する低温浸漬など当時としては斬新な醸造方法にチャレンジしたアンリ・ジャイエ。決して昔の造りではないだけに、飲み頃(誰でも美味しく感じる時期)は10年から15年くらいか。
ジャイエのワインの中では、この一番格が高いリシュブールではなく80年と85年の「エシェゾー」が最高傑作と言われていることがあるのですが、私が何回か試した結果は(85年)

10年後に飲んだものが一番美味しく感じた

であります。古酒好きの私でも熟成には疑問に思うジャイエワイン。25年経ってしまった100万円の時価のワイン(しかも個人出品からの購入の可能性大)をそのまま純粋無垢な参加者に

完全割り勘

で提供するにはリスクがありすぎるのではないか。
それこそ冒頭に紹介した方のように、サービス品として出血して提供するべきものであると私は考えるのです。(本当に100万円前後で購入しているという前提で)

ビジネとしてのワイン会であったとしても、参加者に「お得感」を与え続けなければ参加者は減ることはあっても増えることはないでしょう。
本来このようなリスクのあるレアワインは、日頃のご贔屓の感謝の気持ちとして「お得感」を前面に打ち出すものではないかと考えた次第です。

掲示板の書き込みにもありましたが、

ワイン会を生業にして生きていくのは大変

は私も同感。素人で採算をあまり考えていなかった時だからこその人気であって、本業を投げ打ってこれで食べていくための価格設定にしてしまったら、継続は苦しくなるのではないか。
最近はワインの目玉より予約が取りにくい店での開催を目玉としている傾向もあるようですが、これまた人の好みは移りやすいといいますから、次から次へと店開拓&蜜月関係の構築を続けていかなければなりません。

ワインショップやレストランのワイン会も本業の宣伝(集客)が主目的のはず。採算を度外視する素人のワイン会も多いですから、

営利を目的としたワイン会ビジネスモデルの将来は大変厳しい

と私は推測します。
本日のブログ対象は、あくまで商業ベースに基づいたワイン会に対してでありまして、個人主催のワイン会を問題にしているのではありません。