グラフ社で新著の最終的な打ち合わせの後、少し時間が余ったので前から気になっていた並木橋の「有昌」へ行ってきました。この店は、山本益博さんが降板間際の週刊現代で乱発していたB級店の中の1店であります。店へたてつづけに3回通って「シイタケソバ」が特に気に入ったと書いてありました。
塩味の、言ってみれば素ラーメンの上に、甘辛く炊き上げたしいたけが刻まれて盛ってあるだけの、極めてシンプルな姿。細麺で、スープは衒いがなく、まことに素直な味。そこにしいたけの味が染み出すと、スープがまろやかに深みを増してゆく。食べながら、三変化も七変化もする麺である。
グラフ社を出るとき、担当の編集者にこの「シイタケソバ」の情報を聞いて、食べた経験があるはずなのにノーコメントだった理由がスープを一口飲んでわかりました。
「なんだ、味の素が結構入っているじゃん」。
ラーメンでは珍しくないこの化学調味料の添加ですが、ウリの「甘辛く炊き上げたシイタケ」を一口食べて私は唖然としました。ただ濃く炊き上げたというものではない後を引く味。半端でない「化学調味料」が使われているのがすぐわかりました。スープに感じた化学調味料は、過剰に添加されたシイタケから染み出しているようです。スープにも影響を及ぼすほどの半端でない添加量に私はあらためて驚いたのです。(スープ自体に最初から添加しているかはシイタケを入れていないスープを飲んでいないのでわかりませんでした)
私は化学調味料を完全否定はしておりません。廉価な店のスシにチューブ山葵や練り山葵を使用するのと同じく、使用調味料や手間を抑えなければならない廉価な料理に多少の添加は致し方ないと考えております。化学調味料のアレルギーもまったくない友里ですが、この不自然過ぎる味のシイタケを食べていたら、さすがに舌に痺れのようなものを感じるようになったのです。
おいおい、マスヒロさん。化学調味料大量投入の調理物をベタ褒めして何をいいたいのか。この種の添加物が多量に入った料理を意識的に褒める人がいるとは思えません。世間がこの添加物の投入をネガティヴに評価しているからでして、堂々と使用を宣言する店も皆無ではないでしょうか。と言うことは、マスヒロさんは「化学調味料の添加」が実はわからない、そしてそのお味が大好きだという可能性が大だということです。前々から下町の味の濃い丼物などをベタ褒めしていておかしいと思っていたのですが、それを確信した「有昌」訪問でありました。
化学調味料の大量添加がわからない、そして添加された料理を絶賛する山本益博氏。そんな舌の持ち主が、和食の出汁の優劣がわかるとは思えません。最近は自分の和食の原点が「千花」にあるとか、誰も聞きたくない自分の生い立ちや若いころの話などを披露しているようですが、彼の原点は「千花」ではなく、実は「味の素」だったということです。
後で確認したのですが、グラフ社の編集者も化学調味料の添加が激しいことがわかっていたので、敢えて私に先入観を与えないようにノーコメントを通したとの事。
マスヒロさん、こんな味センスなら、和食どころか貴方の推奨する料理は、フレンチ、イタリアン、中華も含めてすべて信用できないことになりますよ。
怖いもの見たさ、いや食べたさの方、舌先がしばし痺れ続ける可能性がありますが、「有昌」の「シイタケソバ(890円くらい)」を食べて、その半端でない化学調味料の添加を確認してみてください。店は今更添加をやめることは出来ないと思います。