契約がなかなかまとまらなかったからか、オープンが当初よりかなりずれ込んだと言われているANAインターコンチホテルで再開する「ピエール・ガニェール」。この3月19日にオープンが決まったようです。
http://www.anaintercontinental-tokyo.jp/pierre_gagnaire/index.html
昨年のうちに、青山店のシェフだったフランス人がANAホテルに入っていると漏れ聞いていましたが、青山では結果的に失敗したガニェール、溜池山王のホテルで今度はうまくいくのでしょうか。本日は私の見方をちょっと書いてみます。
「厨房のピカソ」と言われていることは本人も認めているようですが、それはすなわち天才肌の料理人だと言うことではないでしょうか。つまり人々が驚き評価する料理は、彼しか造れないということです。
例えのピカソ、弟子が書いた絵はあくまで弟子の絵でありまして、ピカソの絵とはまったく違うでしょう。レシピを渡すから大丈夫だとの反論もあるでしょうが、私はその人達に聞きたい。
?ピカソの絵を模写した弟子の絵をピカソの絵と有り難がるのか。
拙著「グルメの嘘」にも書いてありますが、カラヤンがタクトを振るからカラヤン指揮として聞きたがる人が多いわけで、スコア(レシピに当たる)が同じでもカラヤンの弟子が振る音楽はまったく別物ではないでしょうか。
天性や感性に依存する職種ほど弟子には真似できないものでして、ガニェールの造る料理は例え一番弟子でも正確に再現できないものだと思います。
36階の「イタロプロバンス」跡に再開するようですからかなりの大箱になるでしょう。(イタロプロバンスは80席くらいあったはず)
あのガニェール料理を他人(弟子)が大勢の客に対して提供できると思って有り難がるのは、純粋な読者(ミーハー客)か業界人、文化人くらいのものではないでしょうか。
青山ではなぜ客が来なくなったのか。リーマンショックという逆風だけが問題だと甘く考えているのではないか。
「ビル高層階」、「弟子任せ」、「大箱」と条件はかなり被っております。インターコンチネンタルホテルは青山での失敗の総括をしているとは思えません。
青山と比べて有利になる点は六本木や銀座に近くなることくらいか。同伴客には使い勝手が良くなるかもしれませんが、あの多皿料理がそのままだとしたら食事時間がかかりすぎ、あまり立地の恩恵はないような気もします。
「失敗」というレッテルが貼られてしまった東京ガニェール、同じ東京での再開は厳しいものがあると私は考えます。