本の売れ行きを見たい時、アマゾンのランキングを参考にする人も多いと思います。私も6年前のデビュー時は、拙著「シェフ板」黒本のランキングが気になって、しょっちゅう見ておりました。
しかし実際はトップ100にでも入らない限り、たいした売れ数ではなくそれほど参考にならないと業界の方から聞きました。日本のアマゾンは中堅の取次店が運営しているというのもその理由の1つだそうです。
ただし、売れ行きの傾向をみるにはある程度参考になるでしょう。特に昨年の傾向と比べると面白いものがあると思います。
本日7時前の主なガイド本のアマゾンランキングを示してみます。いずれも今年発売のものです。
ミシュランガイド東京 4,160位
ミシュランガイド京都・大阪 5,754位
東京最高のレストラン 26,347位
ザガット 14,697位
美食の王様ベスト200皿 170,416位
特にその凋落ぶりをあらわしているのがミシュラン。京都・大阪版は最初からランキングがパッとせず日の目を見ませんでした。東京版も最初は1位とか2位になっていましたが、すぐ1000位前後に脱落。昨年は大きく売り上げ数を減らしたといっても1ヶ月は1位を保持していたと記憶していますから、この状態は強気のナレ氏でも想定外ではないか。
私は上陸した2007年の発売時、「近いうちに普通のガイド本と同じ販売数(売れても数万部)になる」と予想しましたが、わずか2年で当たってしまったようです。
「東京最高のレストラン」も今年はかなり苦戦。発売当初から4桁順位を維持しておりました。大きくリニューアルしたと宣伝していましたが、ライターの顔ぶれもたいして変わらず中身も例年と大差ない出来なので飽きられたのかもしれません。
「ザガット」は、お金出して買う人より、タダで貰う口コミ投稿者の方が多いのではないかと思ってしまいます。もう完全に使命は終わったのではないでしょうか。
美食の王様の本に至っては、悲惨以外の何物でもないでしょう。まったく売れた形跡が見えません。理解ある筑摩書房も次の企画はしないと私は考えます。
未曾有の不景気のせいもあるでしょうが、レストランガイド本が軒並み撃沈。多店舗展開の店が集客に失敗するのと同じく、猫も杓子もガイド本を乱発してしまい、読者や一般客の興味を失ってしまったのではないか。
そういえば、売れない本を乱発していた山本益博氏も、今年は本を出していないようです。
ただでさえ出版不況なのに、経済自体の不況が重なり出版業界はまずますきびしくなったのかもしれません。