ロオジエの一時休業について

数ヶ月前からクローズ(結果的には一時休業)の情報が入っていた3つ星グランメゾン「ロオジエ」。
本社ビルの建て替えのため、来年3月末で一時休業となると昨日正式発表がありました。

http://www.shiseido.co.jp/releimg/1784-j.pdf

ここに至るまで、

再開は未定→再開の方向で検討→再開決定

と社内でもかなり揺れ動いたのではないか。オープン当初から多額の赤字を垂れ流していたと漏れ聞きますから、いくら資生堂の「ブランドイメージ」を維持する存在であっても、上場会社として存続の如何は常に検討しなければならない問題だったのかもしれません。

まともなレストランは儲かるものではない

と友里は以前から主張してきました。箱物商売で客数に限りあるレストラン、客の食後感を第一に考えたら多大な利益を上げられる商売ではありません。ましてや、厨房やホールのスタッフが街場の店の何倍も必要なグランメゾンは商売としては「旨み」がまったくないと言えるでしょう。

スタッフ数が何倍も必要でも、それに比例して料理代を上げることは出来ません。客席数も街場レストランと大差ないですから、人件費や食材原価を素直に売値に転嫁できなければ、大きな利益を上げられるはずがないからです。
「ロオジエ」だけではなく、付近の「レカン」や「アピシウス」、「マキシム」などのグランメゾンも実態は苦しいのではないかと私は考えるのです。

グランメゾンが減ることはあっても増えない日本。私は欧米へ行くたびに日本のグランメゾンと比較して

スタッフ数は多く、しかし料理代は安いのになぜ存続できるのか

不思議でありました。
掲示板での書き込みにもありましたが、その答えは欧米の「チップ制」でありましょうか。チップを考慮して、スタッフの固定給を抑えているという給与体系です。
日本の場合は、サービス料といっても店の売り上げ収入にそのまま計上されますから、スタッフは完全な固定給となります。街場レストランより高い給料を払わなければならないグランメゾンの不利がこれだけでもわかるというものです。

最近は有無を言わさず20%前後のサービス料を乗せて請求してくる店もありますが、カード決済か現金かはあるにしても客にその額の決定権がある欧米のチップ制度。それでも日本の平均的なサービス料(10%)より高い料率を受けられるのですから良いことずくめではないか。

料理やワインの値付けは高くなくても、最終的には2割のチップが乗って高くつく場合が多いのが欧米レストラン。日本のグランメゾンもこの際「チップ制」にしてしまった方が良いのではないかと私は考えます。
私も当てはまりますが、人は

見栄っ張り

であります。馴染みの店になればなるほど、高級な店になればなるほど見栄を張りたくなるのが人の性であります。
サービス料の額を客に任せ、スタッフの給与を「インセンティブ契約」にしたら、人件費を抑えながらスタッフのモチベーションを上げられると考えるのですが、この一石二鳥、机上の理論なのかどうか。

ロオジエの休業を機会に、この際真剣に「チップ制」の導入を考える時期ではないでしょうか。