レストランの値下げ行為に一言

レストランが突然値下げしてきたら客はどう考えるでしょうか。
値下げには
1、「久兵衛」の昼のように、前値(高かった価格)と新価格(値下げ)を併記する。
2、すべてのコースを値下げして新価格しか示さない。
3、一番安いコースだけを値下げする。
4、より安いコースを新設する
5、コースを1本に絞り安く設定する。
などが考えられます。
しかしどのパターンの値下げを選んでも、イメージダウンは避けられません。答えは簡単。
流行っている店でわざわざ値下げする経営者がいるはずがないからです。つまり客側は「値下げ」=「客入り不振」と直ぐ感づくわけです。
いわゆるレストランは定食屋ではありません。単にお腹が一杯になれば良いってものではありません。イメージも大事。
どこの世に、「弊店は流行っていませんでした」と告白した店に、わざわざ行きたがる脳天気な客がいるのか。
昼はさておき、私は夜のコースを値下げして成功(復活)した店を見たことがない。
せいぜい存続期間が延びるだけであります。
経営側は「お得感」を出せば客が増えると思うのでしょうが、客心理はそう単純ではないのです。
予約が取りやすい店に客が殺到するか。答えはノー。たとえ電話が1時間繋がらなくても、数ヶ月先しか予約が入らなくても、使い勝手の悪い「人気店」に行きたいと思うのが客心理であります。何時でもフリで入店できる店に客を連れて行きたいとは思いません。
価格も同じ。客入りが悪いと認めた店に、連れだって訪問する客が多いはずがないのです。
客入りが不振だということは、必ず原因があるわけです。確かにCPの悪さも大きな要因かもしれません。ですからオープン当初の客単価設定などのコンセプトが大事なのです。
最初から値付けを間違えて後で修正(値下げ)しても「手遅れ」であります。
コンセプトの失敗を謙虚に受け止め、特効薬とはなりませんが同価格で内容をより充実させる手法しか方策はないでしょう。
極端な意見ですが、値下げより逆に内容を充実して「値上げ」した方が客入りが良くなるのではないか。
というより、店不振の原因は「価格」に限らないはず。安易に「値下げ」に奔る前に、より深刻なその他の問題点を解決する方が先決であると考えます。
昨晩もあるオーナー料理人と「値下げ」について話し合ったばかりです。「値下げ」、言い方は悪いですが「客から舐められる」という結論で一致しました。
未曾有の不景気で二極化は避けられません。本当の富裕層は不景気に関係なく散財します。「なんちゃって富裕層」の財布の紐が絞られるだけ。
高額店、特にキャパの小さい店は相変わらず満席ですし、マックはじめ低価格店も好調を維持しているはず。
中途半端と言ってはなんですが、客単価が1万円前後のレストラン、特にフレンチが苦しいと考えます。
現在値下げを考えている不振店のオーナーシェフや経営者に私は言いたい。
安易な値下げが自殺行為だと言うことは、「歴史」が証明している、と。