ミシュランガイド総責任者のナレさん、料理人以上に勘違いしてまっせ

日刊ゲンダイからあのミシュランガイド総責任者のナレさんが朝日新聞(10/20版)で「勘違い発言」をしているとの連絡を受け、早速その記事を送ってもらいました。読者の方からは、先週発売の「女性自身」で林真理子女史との対談が載っているということでそれも早速購入。11/22に発売する「東京版」の宣伝のため、最後の追い込みとマスコミ露出に精を出しているようです。
この2つの記事を見て私は、どこかのリゾートホテル事業より注目されるミシュランガイドへ転職して舞い上がってしまったナレ氏を再確認したのです。
まず朝日新聞。いかに自分の顔が東京の飲食店業界に売れているかを自慢したいらしく、「席に着いてしばらくしたら、外出していたシェフがあわてて戻ってきてあいさつしてくれました。おかげで料理はどれもおいしく素晴らしいものでした」
何を偉そうに発言しているのか。虎(ミシュラン)の威を借りているだけの、ただの雇われ責任者。そのシェフは自分に敬意を示しているのではなく、ミシュランに頭を下げているだけというのがわかっていない。ミシュラン辞めたら、もう誰も相手にしてくれないということがわかっていません。しかもこんな話を自慢すること自体、知性や教養、礼節を感じません。
だいたい3月に開かれた東京版制作発表会に日仏のシェフを呼んだのも勘違い。
尻尾を振って駆け付けた吉野シェフ、平松シェフも料理人のプライドというものがないのか。本来ガイド本や評論家の評価は冷静にそして真摯に受け止め、それに対処するだけでいいと思うのですが、良い評価をもらったら売上が上がるからといって、ガイドブック側へ媚びへつらって恥ずかしくないのか。
そして制作発表に出たシェフの店、最初から星を確約した裏取引があるのではないか。わざわざ出演して星がつかなかったらそれこそ恥さらしになります。ということは密約があるとしか考えられません。昨年の段階で調査員は、「ロブション、ガニエール、デュカスの店は3つ星をはずせない」と話していたと漏れ聞いているくらい出来レースの感があります。東京版だけではなく、フランス版もこの程度のいい加減さなのでしょうか。
NY版が12万5千部売れたそうで東京版はこれ以上の成功を期待し、自信があるとも書いてあります。しかし、全盛期の「東京いい店うまい店」(文藝春秋社)でも5?6万部のはず。東京の飲食店ガイド本は都外ではかなり売れ行きが落ちると聞きました。東京の店に関心のある人が他県に少ないということでしょう。単なる店データに星やスプーンの数の列記、せいぜいスペシャリテと内装の写真だけでは、そうは興味を示す人がいるとは思えません。
また、女性自身には、東京版では懐石、天婦羅、寿司、蕎麦など日本の料理店が全体の6割を占めていると開陳しています。和食系に5人のうち3人がフランス人(外人)という構成で、まともな評価ができるのか。マスヒロさんや犬養さん、そしてオコチャマの3人がパリへ乗り込んでフレンチのガイドブック出すようなもので、フランス人は誰も相手にしないと思うんですけど。
また、日本人調査員はプロではない人を9ヶ月フランスで訓練しただけで東京の野に放ったようです。どれだけ経験があるのか知りませんが、店にワインがないので近所へ買いに行ってから和食と合わせて飲んでいた、なんて漏れ聞いた情報を分析する限り、たいした調査員ではないと思います。
林女史との対談で、ナレ氏は「すきやばし 次郎」について、威圧感(結局はサービス)は星に関係ないと話しています。それはフォーク/スプーンマークで表示するので、星数はあくまでお皿の上だけの判断だとか。
それならなぜ身分を明かして食材の入手経路や厨房を調査する必要があるのか。お皿からだけでは判断できないからではないか。ナレさん、まったく言うことが矛盾しています。
吉兆や金田中は「一見のお断り」ということで掲載しないような発言をしています。しかし、吉兆、金田中の店には、誰でも予約できる店もあります。というか紹介制の店の方が少ない。それらの店を最初から除外しているのか、それとも載せないのには他に訳があるのではないか。
一般客の立場をとるならば、客の座っている時間や態度で請求額を変えるということを公言している不明朗会計の「次郎」は掲載するに値する店なのか。日本人はともかく、外人はこの不明朗会計を一番嫌うはずです。
「次郎」は今後外人には明朗会計にし、急かして食べさせないとの言質を取ったのか。日本人にだけ不明朗会計を続けるということなのか。
またほとんどの人が東京最高の割烹と認める「京味」、こちらもコース価格ははっきりしていません。季節の食材によっても大きく異なるはずです。
私は「次郎」や「京味」の掲載の有無がミシュランを信用できるかどうかの分水嶺になると考えます。日本人みんなが褒めたたえ(友里など一部を除いて)、日本一と煽られている「次郎」を、不明朗会計などを理由に掲載しなければ、私は少しはミシュランを見直すのですが、過食のオコチャマ以上に鮨がわからないと思われる外人3名に経験の少ない素人日本人調査員2名、そして本来のコンセプトを捨てて営業至上主義に突っ走るオリエント急行やリゾートホテルのマネージメント専門のナレ氏にその勇気があるかどうか。
すでに東京で高い評価を受けている店を主体にそのまま掲載し、フランスの有名フレンチの日本支店に甘い評価をするならば、内容が読み物としては楽しめないこのガイド、買っても全然役に立ちません。ぜいぜい人から借りてきてチョイ読み程度のもの、10万部以上なんて難しいと思うのは友里だけでしょうか。
私は皆さんに問いたい。これでもミシュラン東京版を信用しますか、買いますか、と。
あの伊藤章良氏がミシュランに問題提起していることを読者の方から教えていただきました。ミシュラン東京版は、フランス本国のレストラン本店の日本進出の後押し、販売促進だと大胆に発言しています。
http://66frogs.com/frogs2007/eatout/eatout07_10.html
彼にしては珍しいシビアな問題提起ですので、ぜひお読みください。