読者の方から「月刊プレイボーイ5月号」の「銀座 クラブの礼儀作法」特集のことを教えていただきました。またまた山本益博氏が偏向した持論を展開しているというのです。早速購入して目を通してみると、前から言っている彼独特の鮨屋(特に次郎)に媚びへつらうようにしか思えない「鮨屋崇拝」理論の繰り返しでした。
寿司屋でのマナーはフレンチより難しいというのは、人それぞれの感じ方なのでまだ見逃せます。しかし、相変わらず、寿司屋、特に銀座の寿司屋では、1回目で美味しいものを食べさせてもらえるわけはなく、少なくとも3回は行かなければ本当の素晴らしさはわからないというのです。
噴飯ものは以下のフレーズ。一人前の客と認めてもらうには、予約は電話ではなく直接出向いてお願いしろ。それも一度ではなく、1週間前くらいにあらためて顔をみせてお願いしろとまで主張しています。こんな客としてへりくだった行動を実際している「純粋な読者」がいるとは思えませんが、何を勘違いしているのでしょうか、マスヒロさん。
寿司屋だけなぜ出向いて予約しなければいけないのか。寿司屋の主人だけなぜ「特別扱い」するのか。
こんな「ヨイショ」をし続けているから、彼が祭り上げている料理人に自分を見失った「勘違い料理人」が多く生まれてしまうのです。
店の評価を何も3回目でする必要はない。素晴らしいものではないかもしれませんが、誰でも味わえる「1回目」の寿司、料理をしっかり評価すればいいのです。そうすれば、一般読者に被害は及びません。「特別料理」を評価するから、「マスヒロさんの褒めていた店ってぜんぜんたいしたことない」といった話が食通の中で広まってしまうのです。2回目、3回目でどんどん料理がよくなってきたら、それは「オマケ」というものです。
初回の誰でもうけられる料理で店を評価することによって、店は「緊張感」を持つでしょうし、ひいてはそれが店のレベルアップにもなるのです。初回の料理に気合が入れば、必然的に常連用の料理のレベルも上げなければならないからです。
自分がお酒に弱いだけなのに、開店上げて収益をはかる「次郎」擁護で、相変わらず「寿司屋では酒を飲まずさっさとと食べて帰れ」とも言っています。ツマミを頼むから高くなる、寿司屋は寿司(握り)を食べるところであるとのことですが、それなら彼がまた褒めまくっている「竹やぶ」をどう評価するのか。「竹やぶ」は蕎麦屋のはずですが、高い酒肴でも有名です。「竹やぶ」主人に、「蕎麦しか出すな」、客に「蕎麦しか食べるな」といえるのでしょうか。「竹やぶ」がツマミを出さなくなったら、蕎麦の単価を数倍に値上げしないかぎり、経営は成り立たないでしょう。
だいたい彼がこの誌面でも一押ししている「さわ田」や「青空」はツマミをばっちり出してきます。「青空」は昨年まで「次郎」で3番手だった弟子の店ですよ。師匠とは同じスタイルで経営できないとわかっているから他の寿司屋と同じくツマミにも力を入れているのです。
だいたいマスヒロさんは、昼に、「すきやばし 次郎」で握りだけを食べ、お酒1本でいくら請求されると思っているのか。わずか20分で2万5000円は行きます。ぜんぜん安く終わらない。彼はしょっちゅう「次郎」で食べているはずですが、握り昼2万5000円、夜3万円前後でしかも1時間かからないこの営業姿勢がおかしいと思わないのか。本当に毎回支払っているなら、おかしいと思うのが普通の考えではないでしょうか。
握りだけでもこれだけの「高額請求」。現在、他店と比較してタネ質に違いを出せない「次郎」は、ただ単に値付けを高くしているだけだと私は思っております。