TVではなく出版系では珍しい「ミシュラン擁護」の特集記事があるとマスコミ関係者から聞いて購入しましたこの雑誌、いやはや何とも言えない読後感でありました。
「世界が見た美食都市 TOKYO」とのタイトルを見ただけで、ミシュランサイドに立った論調になっていると推測されるのですが、内容はミシュランに頼まれたのかと思うほどのもの。ミシュラン出版で沸き起こった不満、批判もちょっと書いてありますが、ほとんど検証なしでミシュランサイド、料理人サイドの口上などをそのまま垂れ流しているだけでありました。
「小十」はオープンして数ヶ月客入りが悪く、ミシュラン掲載で脚光を浴びることになる、とありますが、この雑誌の編集者たちは小十へミシュラン掲載前に行ったことがないことがすぐわかりました。私の記憶では、マスコミ露出の助けもあったのかオープンして数ヶ月で客が付き、以後何年も予約が難しくなっていたはずです。私も数週間後の予約が取れなかったことが何回もありました。
「菊乃井」では、かつお節は九州、昆布は北海道から取り寄せる、とあります。今どき珍しいことでしょうか。「菊乃井」の半値で提供している和食店でもこのくらいの食材を使用しているはずです。もっと産地を絞った食材を使用しているはずですが、まったくその辺の知識がない。
「ジョエル・ロブション」のシェフ、ベルゼローゼ氏は「日本には本物のワイン通が多い」と高く評価していることが載っています。
日本のワイン愛好家は知識が豊富で、世界各地の極上ワインをリーズナブルな価格で手に入れる方法も知っている、とありますが、本当に実態をご存知なんでしょうか、ベルゼローゼ氏やニューズウィークの編集者たち。
私は友里としてデビューするまで、その「ワイン通」という人たちの末席に立たせていただいていたと思っておりますが、ワインサークル、ワイン会などに頻繁にご出席している方々が、皆それほどの知識を持っているとは思いませんでした。ワイン価格に対しても非常に寛容な方が多い。
大手国内インポーターのオークション会場では、連れてきた美女たちにパドルを上げ続けさせて落札価格を無茶苦茶上昇させてしまう富裕なワインコレクターたちの光景を毎回目にしました。
一般ピープルのワインオタクや世に言うワイン通もほとんどは百貨店やショップのセールに早朝から駆けつける程度でありましょう。
世界の市場価格やリーズナブルな価格で購入したい人たちもいないわけではありませんが、せいぜい小さなインポーターに登録して欧州のマーチャントにインデントで注文するか、クリスティーズなど海外のオークションへ応札するしか方策がないはずです。
だいたい、リーズナブルな価格で手に入れる方法を知っている人が多いなら、「値付けの高いワイン」しか置いていない「ジョエル・ロブション」に行く客がいるはずないではないか、と私は突っ込みたくなります。
確かこの雑誌の編集長は、TVのワイドショーなどのコメンテーターをしている竹田さんではなかったか。他のタレントと違ってなかなか重みのある発言をしていて好きなコメンテーターの一人だったのでちょっとがっかりしました。
今週木曜にアップする「モウラ」で、ミシュラン調査員がワインをボトルで頼まないで「葡萄マーク」をつけているのではないか、といった問題提起をしております。リストだけ眺めて在庫をまったく確認していない?
もしかしたら昼だけの訪問かもしれません。取材期間や予算の制限からランチだけの訪問で終わらせている可能性も考えられます。
具体的に指摘しておりますので、ぜひご覧ください。