トヨタの2008年度決算発表が昨日ありました。予想通り今年度もふくめて2年連続の営業赤字の見通し。来年度(2010年度)の黒字化も微妙かもしれません。
トヨタは車体本体より付加価値のある高額な電装品で大きな利益を上げてきました。ようやく次期社長は「車の装備が過剰になったり価格が高くなったりしたことが若者の車離れを招いた」と反省の弁を語っています。反省通り過剰装備をやめて以前のような利益を取り戻すことが出来るのでしょうか。
自動車メーカーに勤務する若い社員の中には、免許を持たない人がかなりいるとも聞いています。笑い話にもならない切実な問題でしょう。
ここ数年毎年50万台ずつ伸びた販売数に調子づいて拡大路線をとり続けて大転けしたところは、多店舗展開して失敗する飲食店と同じ。世界の大企業でも人間の欲を抑えきれなかったということでしょうか。
でも300万台も余剰生産力があるとしたら、生半可な対策だけでは立ち直りは難しいのではないか。頼みの新興国ではエコカーや小型車しか売れません。利益に貢献した高級車の未来は厳しいと考えた方がいいでしょう。
トヨタの社是は「小型車での世界制覇」だったはずです。カローラが基本だったのですが、何を勘違いしたのか、見栄を張りたかったのか、ベンツを超える価格のレクサスを販売してしまいました。宅配ピザからグランメゾンへ進出したどこかの会社と同じです。
たとえは極端ですが、裏稼業で儲けた人が表の正業に進出してよく失敗するのと構図が似ているかもしれません。
社是に従って小型車に戻る、次期社長の反省通り装備品を簡素化する、といった方針に特化すれば販売台数はいくらか戻るでしょうが、巨体を維持する利益を上げられるかは疑問です。
20世紀を代表する工業製品であった自動車ですが、21世紀ではもう主役には戻れないと考えます。販売が期待できる市場は「下駄代わり」に車を位置づけているからです。
幹部は否定していますが、ダイエットしなければ回復は難しいと考えます。
あの高慢発言の奥田さん、今でも「マスコミに圧力(広告出してやらない)かけてやろうか」という元気があるのか聞いてみたいです。