ジョージアン・クラブがなんと営業譲渡

正月早々あまり嬉しくないニュースです。読者の方からの第一報ですが、あの西麻布のグランメゾン、ミシュラン1つ星のフレンチ「ザ・ジョージアン・クラブ」がどうやら閉店するようです。吉村オーナーが「ひらまつグループ」に1億6000万円で営業譲渡するとか。まずはひらまつグループのニュースリリースをご覧ください。
http://www.c-direct.ne.jp/japanese/uj/pdf/10102764/00067648.pdf
予定では5月からひらまつグループ運営の「オーベルジュ・ド・リル トーキョー」としてオープンするようです。
ミシュラン星付き掲載店として半年持たずの閉店はレコードではないでしょうか。ミシュランも何を調査しているのか。出版から1か月後に営業譲渡の基本契約の締結をしたということは、その数か月前から下交渉をしていたことになります。少なくとも出版時にすでに吉村オーナーの経営意欲はなくなっていたことがわかります。
最近はあまり集客が芳しくなかったとの情報を得ていましたが、ここまで深刻だったとは思いもよりませんでした。平日の一般客が少なくても、あの「箱」を生かした週末のバンケットさえ順調ならば継続が可能だと思っていたからであります。「ひらまつ」も昔、一時の不振をバンケットに活路を見出して乗り越えたくらいバンケットは粗利が稼げるはずなんですが、それも尻つぼみだったのでしょうか。
オープン当初は1日数組、いや1組といった日が続いたはず。それを乗り越え2000年前後にブレイクしたジョージアンですが、また元に戻ってしまったとしても、何か打開策があったのではないか。昔は値付けの安いワインを飲ませていただいた一個人客としてさびしい限りであります。またここで披露宴をした方たちも残念に思われるのではないでしょうか。
ジョージアンに関しては、何年も前からシェフの交代提言をしてきましたが、やはりグランメゾンは「シェフの使い捨て」が必須ではないかといった持論を確認した次第であります。
それにしてもひらまつグループ、この数年の席数の増大は尋常ではありません。ASO、コンラン、ボキューズなどいったい何軒造ったことか。ブランドをいくつも持つことによって、「屏風と飲食店は広げたら倒れる」という定説を回避しようとしているのでしょうが、この自転車操業のような出店ラッシュ、昔のソーホーズとの違いを証明するにはあと数年は必要でしょう。
今回ひらまつグループは、得意のバンケットで絶好の「箱」を手に入れたと考えます。宴会専門のような箱としましては「キャーヴ ひらまつ」がありますが、ジョージアンの建屋はそれをはるかに上回るインパクトがあります。しかし料理があの「リル ナゴヤ」並みで客が釣れるのかどうか。
「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」は来週の日刊ゲンダイ、そしてブログで取り上げる予定ですが、簡単にいえば「高いだけの店」。名古屋地区のバブルで集客は順調なようですが、あの料理と値付けの高過ぎるワインをそのまま東京へ持ってきたらまずは食通はじめ自腹客は通うことはないでしょう。コンランと同じくバンケットをメインに考えているようですが、年間売上4億8000万円と最盛期のジョージアンの実績をかなり上回る目標設定、果たして目論見どおりいくのかどうか、ひらまつグループのお手並み拝見であります。
名古屋店のシェフは本店からの外人ではなく、数ヶ月「リル」へ研修に行っただけと聞きました。本店から回せるほど人材が豊富ではないようですから、この東京店のシェフもひらまつグループの人材から選ぶのではないかと思います。よって東京店も名古屋と同じようなクオリティにしかならないと考えますが、名古屋とおなじく盛況となるかどうか、その結果は今年末にはわかるでしょう。