数週間前、読者の方からワインを題材にした名作「別れのワイン」(刑事コロンボ)が再放送されるので見てみろとのメールをいただきました。
確か電話機が未だダイヤルだった時代のTV番組、私もタイムリーに見た記憶があるのですが、当時はワインに拘っていなかった若い時でしてほとんど記憶にありませんでした。
今回ご意見により再放送を録画したのですが、BD録画だったためモバイルでそのまま見ることができず(BDにしか落とせない)、わざわざBDドライブを購入して今回の旅行中にチェックする事が出来ました。
少しはワインを勉強した身として、ワインネタの傑作と言われているこのドラマについて気づいたことを2日に分けて、友里流に書かせていただきます。
まず犯人(エイドリアン)が弟を殴った直後に「クラレット」(おそらくボルドーの古酒を意味している)を仲間に振る舞う場面です。(番組の後半で‘47年物だとわかりました)
後々コロンボに疑われることになる、他人へのデカンタージュ依頼ですが、なんと布のような物を漉してデカンタしているではないですか。まともなワイン通ではあり得ない行為です。しかも古酒(‘47年物)だというのにパニエ抜栓せず、立てたまま抜栓し、デカンタしております。下から蝋燭や懐中電灯で澱をチャックせずにデカンタしているのもあり得ない行為です。
この脚本家はワインに詳しくなかったと考えます。
またNYでのオークションの描写ですが、スタート値が1000ドルは良いとして、その次のセリ価格(値幅)が1000ドル毎に上がるのはおかしい。普通は100ドルくらいの値幅で競り上がるはずです。脚本家はオークションにも詳しくなかったのでしょう。
犯人が事情を聞きに来たコロンボに振る舞った赤ワイン。カベルネ・ソーヴィニオンとのことですが、画面を見ると限りなく「ロゼ」に近い薄い色。
昔TV局勤務のワイン好きに聞いたのですが、TVでは色が冴えるという理由で、赤ワインの場面でも「ロゼ」を代用するとか。
ワインを題材にした名作と言われていますが、アメリカで造るとこの程度のレベルになってしまうようです。
明日に続く。
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