この時期でも出店する鮨屋が後を絶たない

今月発売の私の愛読書「東京カレンダー」の特集は鮨屋です。「鮨屋の誠意」と大仰な副題がついているのがちょっと引けますけど。
「もっとも誠意を感じない店」として「すきやばし 次郎」でも取り上げていれば面白いのですが、当然ありませんでした。
しかしこの未曾有の不景気で出店(独立)してくる資金調達力、いやイケイケの営業姿勢に私は驚きました。銀座や青山の海外有名シェフ提携店の継続が業界内で注目されているこの不景気の中、採算があるのでしょうか。回転寿司ではなく客単価が2万円前後はする高額店がほとんどだからです。
リーマンショック以後、高額店で会食する人の数は減ってはいても増えてはいないでしょう。会社経費も締め付けられていますから、接待も減っているはず。そんな状況で、高額鮨屋の数が増え続けて大丈夫なのでしょうか。理論的には業界全体ではマイナスになるのは間違いない。新しい店と古い店との客の取り合い合戦になるはずです。新しもの好きな客も少なくないですから、客を奪われる老舗店も少なくない。客数は増えないだけに、厳しい1年になると思います。
昨年末、独立を前提に星付き店を辞めたフレンチシェフがいましたが、資金調達の問題からか店を構えられないといった話も漏れ聞きました。フレンチほどの厳しさはないかもしれませんが、鮨業界も不景気は避けられないはず。人口が増えない現状で、なぜ店が増え続けられるのか。この矛盾が明らかにならないことを祈るばかりです。
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