昨週で「ヨイショライター丸裸」が終わりましたので、今週から数回、好評だった関西変ネタをいくつかをアップさせていただきます。
まずは関西人の酒類持ち込み気質に関しての問題提起であります。
名古屋は厳密には関西ではないのですが、東京とはまったく気質の違うところ。東京在住の友里が感じるに、関西人気質に近いのではないか。まずはその名古屋の外食好きたちの、レストランへのワイン持ち込みに対する思考を述べさせていただきます。
東京の店はクローズしましたが名古屋では未だ営業を続けている「エノテーカ・ピンキオーリ」。
フィレンツェの3つ星イタリアンの支店ではなく、単なる提携店でありますが、名古屋店はオープン以来集客が芳しくありません。
友里も訪問したことがあるのですが、70席とかなりの大箱なのにその夜の客は我々以外にわずか1組と寂しい限り。
そんな現状を当時いたソムリエールが説明してくれたのであります。
なぜ客が入らないのか、それは
ワインの持ち込みを許さなかったから
名古屋に限らないのですが、この特性のある地(関西)の人は、
ワインの持ち込みオッケーが高額店訪問の第一条件
になるのだそうです。ワインを持ち込めない店へは行かないのだと。
その名古屋人気質を知っていただけに上層部へ具申したものの持ち込み行為は却下されてのこの惨状を、当時のソムリエールは嘆いていたのであります。
ただしさすが名古屋人と言いますか、「軒を貸して母屋を取られる」との例えが正解かわかりませんが、名古屋人に一度持ち込みをオッケーしたら
ワインショップから直送でケースごと(12本ですね)送り込まれることも希ではない
とのこと。名古屋人はレストランをワインセラーと考えているのでしょうか。
いくら飲み代を節約できるからといって、訪問のたびに同じワインを飲み続けても飽きない名古屋人のセンスに友里は脱帽であります。
東西を問わずワインの値付けがべらぼうに高い店は相変わらず存在しております。ですから
なるべく飲み代を安く上げたい
と考える気持ちは理解できますが、医療関係者など名古屋でセレブとして通っている外食好きが
飲むワインをすべて持ち込んで出費を抑えたい
と考えるのはいかがなものか。
そしてこのワイン持ち込み気質は名古屋人独特の習性ではなかったのであります。
関西人、特に大阪では、やはり外食好きの人たちは、
飲むワイン(酒類)すべてを持ち込もうと試みている
と知ったのは、5年ほど前のことでありました。
たとえば10人で予約したとして、その会に参加する条件は
一人1本、ワインを持ち込んでの割り勘
その条件は、フレンチやイタリアンだけではなく、和食から鮨、いや焼き肉から韓国料理にまで適用されてしまうのであります。
東京で長いこと食べ歩きを続けている友里、確かにワインを持ち込むこともありますし、ワイン会と称するものを定期的に企画していた時期もありました。
でも商売ではなく有志の集まりでありましたから、1店の例外(客単価が3万円以上)を除いて、
必ず店で何本かワインを頼むのが東京スタンダード
しかも東京人は見栄があるのでしょうか、持ち込むのは店では置いていないようなレアか古酒、最低でも高価なワインに限定するのが一般的でありました。間違っても
酒代を節約したい
というイメージをむき出しにする東京人はいなかった。
レストランは料理だけで商売するのは厳しい。
いずれの店も、仕入価格の倍以上はとっているとわかるビールだけではなく、日本酒やワインもそれなりの利益率を確保して安定した経営を目指したいわけです。
それなのに持ち込み代として数千円とるとはいえ(関西ではタダにさせられる場合もある)、ビールも水も頼まず持ち込みワインだけで料理を食べ逃げされたらどうなるか。
料理だけでしっかり儲けようと考える店しか残らなくなるではありませんか。
原価率や調理レベルを抑える、逆に付加価値を更に上げようと考える店であります。
この名古屋含めての関西人気質(飲む酒は全部持ち込みたい)が、和食以外のジャンル(フレンチやイタリアンなど)で、
東京に比べ関西の店の食後感がみな悪い(最近は自称和食も創作に奔りすぎて等距離劣る店も多いのではないか)
という現状の、大きな要因にもなっているのではないかと友里は考えるのです。
拙著にも何回か書いたことがあるのですが、ワインの持ち込みは
・ヴィンテージなど記念もの
・店にないようなレアもの、もしくは高額なもの
・持ち込み本数は控えめに
・ソムリエにも振る舞う(よって簡単に手に入るような、しょうもないワインはソムリエが喜ばないので持ち込まない)
このルールは東京ではスタンダードでありますが、これが店と客のお互いが共存共栄できるルールであると思います。
客が来なくなるから仕方なく持ち込みを許可する
この関係では、店、客とも長い目で見たら得にはならないのであります。