「トレン太」を使った架空請求にご注意

本日の一面トップは日本国債格下げでありました。なんとあのスペインよりランクが下になってしまった。日本国債の大半は日本の投資家が所有しているのでただちに長期金利が上がることはないとのことですが、直ぐさま

円安

に振れてきました。いわゆるドル安傾向でなぜアメリカに不利になることをアメリカの格付会社が仕掛けてきたのか。
もうアカン総理はこの格付下げに関して記者から質問され

そういうことには疎いので

と自ら無能さをさらけ出す始末。民主党政権にとっては更なるダメージになるとの話もありますが、ヘソが曲がっている友里は裏読みしてしまいました。国債格下げにより直ぐさま出てきたのが

消費税率引き上げによる財政再建論

この格下げという追い風で消費税率を引き上げ、ついでにアメリカが望む(日本の財界も)TPP参加を押し切ってしまうのではないか。またまたアメリカの思う壺に嵌りそうです。

さて表題の件。実は友里本業で発覚した恥ずかしい不祥事であります。数年前に関係会社を卒業した人を雇い入れていたのですが、その社員が出張費請求で小銭をちょろまかしていたんです。
本人の業務上の問題もあり、昨年末に形上は依願退職となったのですが、その後の調査で不正がわき出てきたのです。
読者の方の中には、総務や経理に関係している方もいらっしゃると思いますので、簡単にその仕組みを説明します。

「トレン太」とは簡単に言えばJR(乗車券と特急券)とレンタカーのセット販売。セットにすることによって

乗車券が20%引き、特急券が10%引き

となるのです。長距離になるほど、人数が多くなるほどお得になるのがわかりますね。
今まで使っていなかった営業まわりでのレンタカーですが、関係会社ではよく使用しているようで、タクシーより割安だとの触れ込みでその社員が使用しはじめたのです。
なぜか同行させた部下のJR代も本人が支払って精算していたのが不思議だったのですが、その訳がようやくわかりました。

弊社は出張費の請求の際には必ず領収書の添付をさせます。件の元社員もしっかり領収書をつけていたのですが、1枚領収書が多かった。つまり、「トレン太」の領収書だけではなく、レンタカーの領収書をつけて請求していたのです。

もう少しわかりやすく説明しますと、2名分の「トレン太」の領収書額はレンタカー代が含入していますが、表面上は正規のJR代とほぼ同額。(1名ではなく2名まとめているところがミソです)
出張前日に最寄り駅で「トレン太」を購入してまずはその領収書を確保しておくんですね。システムに問題があると思うのですが、出張先の駅でレンタカーを借りるとき1050円ほどの保険料を支払うそうですが、その際になんと

レンタカー代として別に領収書を発行

してしまうのです。つまり1050円だけではなく、既に支払って「トレン太」の領収書に含まれているレンタカー代(6820円)も合算した領収書を二重発行してしまうのです。
その2枚の領収書をつけて出張費精算をしますと、表面上は「トレン太」の領収書が正規のJR代とほぼ同じなのでチェックが甘いと

JR代の割引額とレンタカー代

がその社員のお小遣いとなってしまうわけなのです。額にしてその小遣い稼ぎは多くて

数万円

でありますが、これを頻繁に繰り返すと結構な額になります。

今回のセコイ不祥事発覚で、関係会社はじめ出張費規定について色々と調査したのですが、結構いい加減な会社が多いことに驚きました。
しっかり領収書の添付義務を課していた弊社でもやられてしまった小遣い稼ぎですが、上場していても

出張精算に領収書を添付する必要がない

会社があるのです。交通費代だけではなく、宿泊代の領収書も必要としない規定の存在に私は驚きました。関係会社から来た件の元社員のように悪知恵が働いたら、「トレン太詐欺」だけではなく

一泊もせずに宿泊費を請求

することも可能になるからです。
日帰出張で家に帰ってきても、現地で一泊なり二泊して客回りしたことにして宿泊費や日当を架空請求することができてしまう。
いや日帰り出張さえしなくても、架空請求は可能ではありませんか。

会社上司が一々客先に、部下が訪ねていったかの確認をすることは普通しません。部下を信用しない会社と思われるからですが、その社員が詐欺人間だとコロッと騙されるのが領収書の添付義務がない場合の

架空出張

であります。今回の調査では更に、宿泊費が実費精算でない出張規程の会社が未だに存在していることもわかりました。
地位によって宿泊費の額が異なるようですが、例を挙げますと一般社員の宿泊費が9000円と定められているとします。
ところが地方ではもっと安く泊まれるホテルが一杯あるんですね。5千円前後で泊まれるとしたら、その会社の社員は一泊毎に

5000円の小遣い稼ぎ

が出来るてしまうわけです。
そのくらい大目にみろ、ツマミや酒代といったささやかな楽しみだ、既得権で組合が納得しない、という意見もありましたが、こんないい加減な規定では必要のない宿泊出張が増えるだけではないか。所詮人間は弱いものです。一泊毎に5000円前後のサヤが抜けるとしたら

早出をせず前泊
帰宅できるのにもう一泊
一泊で良いのに二泊しちゃえ

と、架空請求や詐欺ではない合法的な小遣い稼ぎに奔ってしまうのは人間の心理。しかしこの差額(宿泊規定額と実際の宿泊費の差)は、合法的な小遣い稼ぎの温床となるだけではなく、税務上も大きな問題があるのです。私が思うにこの「差額」は税務上

認定給与

になるのではないか。出張費は会社の大小に関係なく全額

経費

となります。その経費の中から社員はサヤを稼いでいるわけでして、そのサヤも本来は

所得税の課税対象

となると私は考えます。

人を信じることは大切でありますが、人が悪魔の囁きで過ちを犯さないよう、ある程度のルールを作ってあげることも大事。
最初はほんの出来心でも、回数をこなすことによって規模が大きくなるのは歴史が証明しております。
件の元社員も、調べれば調べるほど埃が出てくる様子。宿泊代の領収書を紛失したことにし、混んでいて高い部屋しかなかったと申告して

5000円

のサヤを抜いていたことも発覚しましたが、本来の業務でもっと大きな問題を犯している可能性が高く、今後の調査が楽しみであります。

本日のお題は、出張精算では領収書の添付による実費精算をしないと、大袈裟に言えば

節税、もとい脱税

の可能性大、であります。