宝島社から出版予定の新書、ただいま原稿段階で最終コーナー手前辺りをばく進中、もとい競歩程度で必死であります。
序章からはじめて1章から6章、そして「あとがき」の構成。現在なんとか第4章まで書き終わりました。(校正はまだ)
文字数的には8割方終わったところでしょうか。200ページ未満の一般的なボリュームの新書とすると、総文字数は8万くらいか。現在6万5000文字ですからあと2万文字弱であります。
「絶品レストラン」出版時のやりとりから、本のタイトルに関するセンスが低下していると自覚した友里。よって今回は何も提案していないのですが、編集側から示された表紙や帯にあったタイトルは
グルメの真実
うーん、前著の「グルメの嘘」(新潮社)と結構似ております。
今回の原稿で気をつけたのは、この2年前に出した前著「グルメの嘘」と如何に差別化できるかということ。
前著は問題提起型でありましたので、今回は飲食業界の「ウラ」を説明調で誰にでもわかりやすく著すよう努めました。勿論取り上げる内容もなるべく被らないようにしております。「さとなお信者」や「関谷江里信者」など純粋無垢なミーハーさんたちにもわかるように書きました。
この週末が山場かと、薄毛の老体(オカザワ談)にむち打ってなんとか乗り切るつもりです。
さて読者から「変な資格商売がまたでてきた」との情報提供を受けました。
日本フードアドバイザー協会
まずは以下のURLをクリックしてみてください。
横ちゃん主宰の「日本フードアナリスト協会」が輩出した自称アナリストでさえ、まともな仕事が舞い込んでこない現状で、もう1つ己の儲けのためにこんな
資格商売
をつくってしまって良いのでしょうか。高い受講料と引き替えに、何ら公的価値のない「資格」を己の自己満足だけのために取得する脳天気な人がいるのでしょうか。
もしかして、この資格を取ったら
飲食店業界で食べていける
人に自慢できる?
と考えているアフォな受講者はいないでしょうね。
この未曾有の不景気で、タダでさえ経営が苦しい飲食店業界。廉価な店ではさらなるデフレ競争、高額店でも客数減少、とこの業界を取り巻く環境は最悪に近いのです。当然ですが
役に立つとは思えないアドバイザーにコストを割くほど余裕があるはずがない
のであります。
どんな資格があるのかなと覗いてみると、3つの資格があるようです。受講時間と受講料も併記してみますね。
レシピプランナー 6Hr ¥52,500?
フードアドバイザー 6+15Hr ¥189,000?
フードコンサルタント 6+15+60Hr ¥913,500?
レシピプランナーだけは資格試験がなく、受講すればすぐ認定されるようです。
おそらく経営側は、この「受けるだけで資格取得」のレシピプランナーの大量生産を狙っているのではないでしょうか。
飲食店へのアドバイスとかコンサルトとか偉そうなことを唱えておりますが、要は繁盛させて利益が出れば良いだけのこと。
その方策なんてイチイチ勉強しなくても誰でもわかるというか、非常に単純な事なんですね。ファミレスなど大箱店を除いた店に対しては
飲食店でボロ儲けを狙うな
支店をつくるなど拡大路線をとるな
支払い価格に見合うだけの満足感を客に与えろ
はっきり言えばこれだけであります。しかしこの簡単なことが実際には難しいのです。
大きな利益を狙ってしまうと客が満足感を得られない
売り上げ増大を狙って支店をつくると客が満足感を得られない
のであります。利益を狙って(赤字から黒字転換を狙って)
原価を落とす
サービスのクオリティを落とす
調理に手間暇をかけない
となりがちなレストラン経営者。
また美味しい料理を出せば千客万来になるとは限らないのが難しいところ。ポテンシャルのあるシェフが美味しい料理を出しても、店が続かないという例は、
三鴨シェフ
が立派に証明済みであります。料理以外と言いますか、サービスなどを含めたトータルで平均以上の満足感を客に与えなければならないのです。
逆に言いますと、料理が傑出していなくてもサービスその他で補えば客が来るということを証明している一例が
バカール
であります。失敗例や成功例をちょっと学習すれば、胡散臭いアドバイザーの意見などまったく聞く必要がないことがわかるのですが、ではなぜ集客が苦しい店が多いのか。それは
欲に負けて客の満足感を蔑ろにしている経営者
サービスその他で補えないほどセンスのないシェフの実力
こんなところでしょうか。
己の欲を抑えきれない、己の腕の実力を冷静に見られない。集客に苦しむ店が多いのは、安直に独立する料理人や経営者が如何に多いかという証左でありましょう。
高いお金を払ってアドバイザーやコンサルに相談するより、1500円ほど用意して
グルメの嘘
グルメの真実(仮題)
をじっくり読んだ方がレストランにとって役に立つのではないか。
千客万来の店に向いていないシェフや経営者も多いのです。無理して独立などせず、そういう人は雇われを続けていくしか道はないのではないか。
世に会社は数え切れないほどありますが、サラリーマンの大半は独立しようなんて思っておりません。リスクと己の実力を冷静に考えているからであります。一か八かの度胸がある人が少ないのかもしれませんけど。
レストランだけが誰でも独立できるという甘い世界ではないということを、そろそろ雇われの料理人やソムリエたちは気づくべきだと考えます。