第994回 再開発ビルの料理店にうまいものなし
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- 2006年5月30日(火)
支払額に見合った満足を得た経験をしたでしょうか。
最近は、銀座の新ビルなどでは
賃料が坪5万円をはるかに超えているとか。
六本木ヒルズや表参道ヒルズの賃料も
決して安いものではありません。
では店はなぜ高い賃料を払ってもこのようなビルに入りたいのか。
その理由は簡単、
注目度が上がって客が押し寄せることを夢見ているからであります。
何も客が入らないようなビルに高い賃料で入る店はないでしょう。
そういった意味では、
「交詢ビル」は思惑通りにならなかったということです。
では、
客はそのような再開発ビルにある店に何を期待するというのか。
美味しい物を食べたい、いい雰囲気の中二人で記念の食事がしたい、
という希望に
六本木ヒルズや表参道ヒルズの
観光客一杯で喧騒な環境は必要ないというかむしろ邪魔です。
中途半端な4階や5階の夜景もいらないでしょう。
京都のダイニングバーの料理を
「京料理」として信じ込んで食べたいものなのか。
京都の創作イタリアンをわざわざ東京で食べたいものなのか。
京都の創作フレンチもしかり。
つまり、客側としては、わざわざコストを押し上げる、
つまりCPが悪くなること必定の「再開発ビル」の店へ行く理由は
まったくないといっても過言ではありません。
またこれら再開発ビルに出店している有名料理人の性格も
ちょっと考えてみましょう。
「みかわ」の早乙女氏、「次郎」の小野氏、
「竹やぶ」の阿部氏など、
取り巻きなどから天才と持ち上げられ
舞い上がってしまった人が多い。
今は撤退しましたが小山氏も同じようなものですね。
私は森ビルなどに高い賃料を払うくらいなら、
最終的に客にフィードバックされる「食材費」や「手間」に
その分あててもらいたいと考えます。
今年オープンした表参道ヒルズは以前にも書きましたが、
飲食店の数を抑え、スペースも抑え、
そして客単価も抑えた店ばっかりとなりました。
六本木ヒルズを反面教師にしたのでしょうが、
このことからも、
「再開発ビルの飲食店に魅力なし」
は当たっていると自負しております。
来年オープンする「東京ミッドタウンプロジェクト」、
リッツカールトンのほか、
どのようなテナントが入ってくるのか楽しみであります。