第987回 これでよく「マツタケ尽くしコース」といえたものだ、菱沼
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- 2006年5月23日(火)
ワインと一緒に楽しめる和食として注目されていました、
三田にあった「菱沼」。
7~8千円のコースにCPよい無名のワインを提供してくれたので、
料理は別にして私は通っておりました。
しかし、
和食どころか鮨屋にまでワインが用意されるようになったこの数年、
特徴がなくなりすっかりその存在を忘れていたのですが、
六本木へ移転したのを契機に、
何冊もの紹介雑誌に集中的に露出してきまして思い出したのです。
目に付いたのは「松茸づくしコース」。
土瓶蒸し、炭火焼きの他、蒸し鮑にまで
大振りな松茸を3皿提供するとの記事に釣られて昨秋、
新店を訪問しました。
六本木交差点から徒歩5分、
バブリーなアクシスビルの地下にありますが、
テナント集めに苦労しているのか、特に地下に活気がありません。
店内は三田の時よりも大箱で、
雑誌のお陰かかなり混みあっておりました。
ウリのワインですが、
リストにはブルゴーニュの造り手が明記されておらず、
就任直後の支配人も知識がないようで、サービスも頼りない。
しかし、根気良く説明を受けると、
リスト外にもCPの良いワインがあるようです。
料理は最近の若手料理人の店、
「小十」や「龍吟」などのレベルとはまったく違う凡庸なもの。
昔はこれでも納得する客が居たのでしょうが、
今は客のレベルが上がって来ています。
雑誌をみた一見客が一巡したら、厳しい営業になることでしょう。
雑誌の写真とは量も違った松茸の土瓶蒸し。味わいも浅すぎです。
造りの鯛はパサパサ、どこにでもある内容の八寸、
居酒屋のような鰤の照り焼きなどの後、
マッチ棒のように細い炭火焼マツタケがでて、
松茸ご飯で終わりました。
ご飯に松茸が入っていましたが、
雑誌にあった蒸し鮑の松茸サラダ仕立てがありません。
これで一人1万5千円コース。
この凡庸な料理の連続で、
「松茸づくし」と見栄きれる主人の厚顔に脱帽です。
<結論>
雑誌では松茸料理が3皿で「1万3千円より」と
曖昧に書かれていた。
1皿少なくて1万5千円ではインチキではないか。
料理がよければ文句はないが、
この料理では舌の肥えた客はリピートしないでしょう。