第979回 裏方に徹するべきだった、ラ ソース 古賀
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- 2006年5月11日(木)
メイン料理より評判だからか、
昨年夏、銀座にその「カレー店」がオープンしました。
勿論「コムシェヴ」のオーナーシェフ、古賀氏はプロデュースのみ。
店前の電気看板には古賀シェフの写真が堂々と描かれていて
相当の自己顕示欲の持ち主であることがわかりますが、
出資者は別だそうです。(あまりに評判が悪かったからか、
電気看板は現在なくなっております)
フランス語でカレーの意味である「ソース・ キュリー」の他、
ブイヤベース風の
「ソース・ブイヤー」の2種をメインにしているだけですが、
業界人達からの異常な絶賛の嵐。
「さとなお」さんも褒めていました。
しかし私は初訪問の時点で、
この店の将来が厳しいだろうと直感したのです。
キュリーは1250円とカウンター式では高めで
しかもスープ状なので具がありません。
トッピングとして3~5百円の追加で
鶏、子羊、牛を加えることが出来ますが、
それでは1500円を超えてしまいます。
野菜類は+150円ですからこれも加えると2千円近くに到達。
牛すね肉や野菜から抽出したブイヨンをベースにした
クリア感ある味わいといっても、所詮カレーです。
ワインもあるようですが、
ゆっくり味わうメイン料理ではないだけに高すぎです。
ブイヤー(1250円)はその名の通り
ブイヤベースにカレー風味を加えたもので、魚介の具が入っており
初めての人には面白いが、年中ライスと一緒に食べるものではない。
ブイヤベースとしては深みが中途半端なのも気になります。
混雑が予想されるランチ時も満席にならず、
13時以降は店内に数組しか客がいません。
夜もほとんど客が入っていない。
18時以降の稼ぎ時にも客がまったく見られないのですが、
こんな営業でいつまで続けられるのか。
昼下がり、奥のテーブルで
店関係者と思われる数人が打ち合わせしている光景にも何度も遭遇。
これもいかがなものか。
集客のためのメニューの梃入れで、
「ソース・アッシュ(ハヤシ、1850円)」、
「ソース・ブランシュ(ホワイトソース、1450円)」
を投入してきましたが、
コンセプトに元々無理があるので効果は上がっておりません。
800円くらいの弁当も最近はあるようですが、
焼け石に水、といったところでしょうか。
最初からコンセプトの大間違い。
カレー専門店は長居するところではありません。
キャパを大きくせず回転率を狙う商売です。
客単価も2千円近くを狙うもののはずがなく、
酒類もせいぜいビールであって、
ゆっくり飲むワインを置くのは意味が無い。
カレーも出すカウンター洋食屋かフレンチ
といった位置づけのコンセプトを修正しないと、
集客に変化はないでしょう。
オープン当初、ここを褒めていた「さとなお」さんら有名人、
なにか知恵を貸してあげたらいかがでしょうか。
<結論>
たまに食べるから意外性があってウケるのが裏メニューの存在価値。
チョイ食べの所詮カレーが
銀座でもこの価格でメインを張れるはずがありません。
250円引きの優待券すら有効期限を
手書きで2ヶ月延長して訂正するなど、その実態は悲惨そのもの。
表あっての裏方という鉄則を経営者は知らなかったのでしょう。