第980回 京都でもCPがよいカウンター割烹、つか本

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  • 2006年5月12日(金)
昨年久々に京都で、1万円和食のお値打ちを発見しました。
最近は廉価な飲食店に様変わりしている先斗町の狭い路地を
四条通りから上がって「よーじや」を左折、
右手の古い小さな建屋の2階にその
「そっ啄 つかもと」はあります。
こんな所に和食屋があるのだろうかと
思わず階段を上るのを躊躇してしまうほど、
その外観はよくありません。
しかし扉を開ければ、
厨房奥は多少雑然としていますが小奇麗にまとめてある、
5席のカウンターに小さなテーブルが1卓の
主人一人の小さな割烹料理屋。
30代前半と思える主人は、電話応対から想像したとおり腰が低く、
物腰柔らかでありました。

雑誌でポツポツ宣伝されており今は予約も難しいようですが、
私が訪れた時はいずれも満席ではありませんでした。
恐らくテーブルは荷物置きにしか使用していないでしょう。
実質キャパ5名の店ですから、
知られてしまうと予約が困難になりますが、
銀座の「うち山」、「馳走そっ啄」、「あさみ」が
おいしい和食と勘違いして客が殺到している現在、
友里は敢えてこの店を取り上げます。

7千円と1万円のコース2種のみ。
最初の訪問時、和食の華である「お椀」を食してすぐ
まともな店だと判断しました。
椀タネの真丈もさることながら、出汁がおいしい。
有名高額店に劣らない技量と質に感じたのです。
造りでは毎回でる鮪は不満ですが、
鯛など白身はこの価格から考えれば充分なものです。
地の利の悪い鮪などに執着せず、
その地で最も良いものだけを出してもらいたいものです。
八寸に出てくる鯖寿司は浅い〆ですがなかなか。
炊き合わせもやや味濃いですが納得です。
〆が蕎麦なのもこの店の特徴でしょうか。
主人が打ったと聞きましたが、
個人的には季節物の炊き込みご飯などを用意してもらいたい。
でも、この価格で
クオリティを落とさず提供するのは無理でしょうか。
結構日本酒を飲んでも一人1万5千円には届きません。

<結論>
同じように「そっ啄」を名乗っていますが、銀座の店とは雲泥の差。
7千円のコースは使用食材の違いや八寸の有無と差は歴然ですが、
これでも満足するでしょう。
人気が出ると「てら川」のようにCPが落ちる店がよくありますが、
このまま頑張ってもらいたいものです。
銀座の1万円和食の人気店の店主も、
新幹線使って勉強に行ってもらいたいものです。