第933回 ワインの諸々 96原産地呼称は曖昧なものなのか

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  • 2006年3月26日(日)
シャンパーニュの認定品種が8種あったという衝撃から
立ち直らない私に、更に追い討ちをかけるメールが
知人を経由して来ました。
8種の品種を使ったシャンパーニュを扱っている
関係者からのものでした。
INAO(Institut national des appellations d'origine)は、
原産地呼称全国機関と訳される
フランスのワインやチーズなどの
原産地呼称の権限をもつ機関であります。
創設は1935年に遡るそうで、
「各AOC呼称のワインおよび蒸留酒に適用される
生産条件および呼称使用を認められる生産地域を確定する。
この条件は、とくに、生産地域、
1ヘクタール当たりの収量、ブドウの品種、
ワインのアルコール度数の下限にかかわり、
ブドウの栽培、醸造、蒸留の過程で
何も添加しない自然の製造を前提としなければならない。」
とされているそうです。

衝撃をうけたというのは、この原産地呼称の大元には、
シャンパーニュの品種にシャルドネの記載がないというのです。
INAOの規定品種には、
「全てのピノ系ブドウ、アルバンヌ、プティ・メリエ」
とあるだけとか。
現状認められているとされている8種の品種とは、
アルバンヌ、プティ・メリエ、フロモントー、アンフュメ、
シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ピノ・ブランだとか。
これらのセパージュ、聞いたことないのがほとんどでした。
アン・フュメやフロモントーもピノ系のブドウだそうで、
厳密にいうと、8種のうちシャルドネだけが、
前述のINAOの規定に入っておりません。
ということは、現在出回っている
シャルドネを使用しているシャンパーニュは、
AOCシャンパーニュを名乗れないではありませんか。
しかしこれには「落ち」があるそうです。
当時シャルドネはピノ系ブドウと認知されていたというのです。
それが最近の遺伝子検査で、
シャルドネはピノ系ブドウではないことがわかったとか。
本来ならば、INAOの規定に
「シャルドネ」を加えなければならないですが
未だに追加されていないそうです。
現状のシャンパーニュのほとんどがシャルドネを使っていますから、
今さら事を荒立てて追記することを避けているのかもしれません。
イタリアと違って、
フランスの原産地呼称法は厳密だと習いましたが、
なんとも曖昧な部分があるではありませんか。

本日の内容は業者の方からのメール内容を
そのまま採用させていただきました。
まったく知らなかったことばかり。
宣伝に一役買ってしまったかもしれません。
そういう意味では、今日のコラムは聞きかじり、
俄か知識にも至らぬものですが、
友里は知らない事をお教えいただいた時は、
正直に開陳する主義であります。
内容が衝撃的過ぎて、早く皆様にお伝えしたくて時間が足りず、
INAOなどに裏をとっておりませんが、
確かなことだと推定します。
皆様のご意見をお聞きしたいと考えます。