第920回 予約困難な新店はこうしてつくられる!

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  • 2006年3月13日(月)
読者の方から面白い情報をいただきました。
鮨自体の味や特徴ではなく、
一人客としての居心地だけを無意識に評価基準にして、
限られた数店に「結構」を連発してヨイショしまくっている
MADE IN JAPAN!のホリウッチ氏。
一番のお気に入りである「しみづ」の2番手が京都・祇園に出す
「鮨まつもと」を開店前だというのに
煽りまくっていらっしゃいます。

この影響ではないと思いますが、
関西のマスヒロこと門上武司氏が
早くも取り込みに入っているとの読者の方からの最新情報です。
まずは祇園の儲け頭、
門上氏とツーカーの「さ々木」の佐々木氏に引き合わせ、
錦市場へ繰り出したとか。
そしてそのことを誌上で自慢するようです。
これで、松本氏は門上氏に頭が上がらなくなりました。

「ミニマスヒロ」と言われているように、
「名伯楽」として
飲食店業界での権力をより高めたいためのこの素早い行動、
東京だけでなくどこでもこのような読者や一般客を
「食い物」にしている売名行為の人はいるものです。
TVの撮影が入ったと言う噂もあるそうです。
でもこの店、4月オープンなんですよ。
2月に「しみづ」を辞めて、
祇園でどういう仕入で、どういう値付けで出すか、
まだ結果を出していないのに、「純粋な読者」に
あたかも「名店」として、事前に煽るのはいかがなものか。
犬養さんの「ナリサワ」フライング問題を以前取り上げましたが、
この手の連中は、読者のことを考えず、
自分さえ得すればいいという考えなのでしょう。

人気店の料理人をあつめて「学会」と称して食べ歩き、
それを誌面のネタにする門上さん。
この大仰なネーミングは
逆に彼らのコンプレックスの表れともいえるでしょう。
仲間内でヨイショしあう、
閉鎖的なサークルをつくって他店と差別化したい、
業界に影響力をもちたい、といった名誉欲、
自己顕示欲、金銭欲の結果の蛮行であります。
読者や一般客にとってこのような野合はなんら利益になりません。

松本氏ははやくも祇園の店へ挨拶周りに行って
話題になっているとか。
見た目と違って結構如才ない人だと知りました。
4月のオープンに合わせて、大々的に雑誌で取り上げて客を集め、
噂が噂をよんで予約困難な店に「一時的」になることは
約束されたようなものです。
かくして、オープンまもなく予約困難になる店は、
このようにして捏造されるわけなのです。

しかしよく考えてみてください。
松本氏は京都出身ではないと聞きました。
京都の店の客の多くは、東京など他県からの「観光客」であります。
例えば、東京の人が、わざわざ京都へ行って
築地から取り寄せた「鮪」や「穴子」などのネタの
江戸前鮨を食べるでしょうか。
東京へ帰ればいくらでもより良い質の店はあるでしょう。
松本氏は、よく料理人たちが雑誌で自慢している
「築地に毎日通っている」ということが出来ないからです。
彼がそれでも最良のタネを仕入れる事が出来るなら、
「築地に毎日通う料理人」のキャッチは、
まったく値打ちがなくなります。
鯛などは関西の方が有利でしょうが、
鮪など築地に最上のものがあつまるネタを多く使うのが
江戸前鮨です。
産地と直接交渉で横流し物を入手する方法もあるでしょうが、
鮨屋一軒の仕入量で、色々なタネについて交渉するのは不可能です。

そして京都の店の客層のもう一つの勢力である地元の旦那衆。
プライドが高いことで知られていますから、
江戸前をそう好むかどうか。
最終的にはコテコテの江戸前ではなく、
京都風創作寿司に修正していく道を探るのではないかと
私は予想します。