第914回 高すぎるがこれがスッポン料理、さくま 1

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  • 2006年3月7日(火)
赤坂見附駅から徒歩で10分ほど。
虎屋の裏路地という
メインストリートとはうって変わって
人通りの少ないマンション街の一角に、「さくま」はあります。
一年中スッポン料理を扱う専門店。
京都で300年以上続く老舗「大市」の長男が
昭和のはじめに東京に進出してきて
この地にオープンしたと聞きました。
神戸の「あら皮」しかり、博多の「い津み」しかり、
そして「大市」から別れた「さくま」と、
東京へ進出した分家は、
本家とはほとんど絶縁状態になっていると聞いています。
なぜ、東京に進出した分家(長男の場合もありますが)は、
本家と一線を画してしまうのでしょうか。
地方とはいえ本家のプライドと、東京で成功したというプライドが
ぶつかってしまうのかもしれません。

スッポンのコース料理というと、
煮凝りから始まって、刺身、から揚げ、茶碗蒸しなどの後、
まる鍋、雑炊とスッポン尽くしが続くのが一般的だと思いますが、
「さくま」は「大市」と同じくシンプルにスッポンに関しては、
基本的にまる鍋と雑炊だけとなります。
よって、夏でも熱い鍋を出しますから当然客足は鈍ります。
養殖といえどスッポンは冬眠すると思いますので、秋口が旬のはず。
盛夏はともかく、
初秋はスッポンが一番おいしい時期ではないでしょうか。
そして、
空いている夏に訪れるのも質的には悪くはないかもしれません。

京都の本家と違って「さくま」は同じ一軒屋風でも民家風ではなく、
料亭スタイル。
重厚で支払額に見合った環境を提供してくれるでしょう。
6室の個室だけですが、
特に中庭の見える部屋は趣がありお勧めです。

<明日につづく>