第908回 高額な民宿料理だ、なかひがし 2

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  • 2006年3月1日(水)
1階は12席のカウンターで、
カウンター内にはウリの「おくどはん」がどんと構えてあります。
奥の厨房も含めてかなり余裕のスペース。
2階はグループ対応なのでしょうか。
団体客がぞろぞろ上がっていきました。
厨房スタッフ、女性スタッフと人件費もかなりかけています。
当初の想像とはまったく違って、
かなりの大箱な店である事がわかりました。

初めての訪問だったので最高の1万5千円を選択、
これは京都ではかなりの額です。
祇園の高額カウンター懐石料理店に相当する価格設定に驚きました。
料理は12皿でご飯のお替りも出来るので量は充分といえます。
スタートの八寸は、摘み草など色々な野菜や小魚が、
揚げ物、煮浸しなどで供され種類も多くおいしい。
造りは予想通り鯉。
大根シャーベットや山椒なども添えられ目先を変えていますが、
しかしどうってことありません。
鮎は頭を下にせず水平でかなりの時間をかけて焼いていました。
普通の質で傑出しておりません。
2回転目の客の頃には、鮎の焼時間がかなり短縮されていました。
調理のクオリティが安定していないようで、
この店の入店は早めに限るということでしょう。
岩魚のタタキ、タニシなど
京料理とは一線を画する食材の使用に新鮮味は感じますが、
京都に来てまで食べるものなのかどうか。
唯一の京らしい食材だった鱧炙りのお椀は、
鱧自体の質に疑問が残りました。
胡麻和えや加茂なすの炊き合わせなど野菜料理もでましたが、
「草喰」と銘打つほどの草や野菜の量、拘りを感じません。
しかも、炊き合わせは温かいままで味が濃すぎです。
もう少し上品にそして冷まして
食材に味をしみ込ませた方がいいのではないでしょうか。
滋賀の天然鰻はタレが甘すぎで私の好みではありませんでした。
有名なおくどはんによるご飯ですが、
これまた傑出しているとは言いがたい。
自宅の土鍋で炊いたものとたいした差を見出せなかったのです。
土鍋で炊かない人にはあり難いでしょうが、
これがウリというのも寂しい気がします。
女将の丁寧な接客で気持ち良く店を後に出来ますが、
マスコミで持て囃されるほどの店なのかどうか。
価格の安いコースには、鰻や鱧が出ないようです。

<結論>
タニシ、岩魚、鯉と
普段あまり口にすることのない食材が食べられますが、
この食材でこの価格、そして2回転営業。
この店、非常によい商売しています。
はっきり言えば、「高額な民宿料理」と判断。
混んでくると鮎など焼物の焼く時間が半減します。
早い時刻の入店をお勧めします。