第907回 高額な民宿料理だ、なかひがし 1

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  • 2006年2月28日(火)
京都の人気店「草喰 なかひがし」。
摘み草料理で有名な美山荘出身の主人が独立して、
いつのまにか予約困難な店になりました。
しかし、この店のウリ、キャッチに私は疑問であります。
「メインディッシュ」と称した
「おくどはん」で炊いたご飯とメザシが有名ですが、
この食材がどうしてメインを張れるのか。
他には摘み草と川魚のコース料理がウリのようでして、
他の有名京料理店の使用食材とは一線を画するもの。
言い換えれば、
かなり食材の価格が落ちるものを調理していることになります。

しかし、予約を入れるのが大変な和食屋になっています。
いつでも誰でも簡単に予約が出来て訪問できる店ではありません。
月初めの1日に翌月の予約を受付けるので、
客は予定を立てるのが大変です。
摘み草と川魚の和食に行くのに、最短で1ヶ月、最長で2ヶ月先の
スケジュールを考えなければならないのですから異常です。
記念日のグランメゾンの予約ならわかりますが、
この店の雰囲気、コンセプトでは、記念日の食事は辛い。

京都駅からタクシーで2千円ほど、思ったより距離がありました。
山が迫っている地域です。
店は2階建ての一軒屋で、
18時オープンのはずですが、実際は17時過ぎから客を入れています。
実は前日、店から早めに入店してくれないか、
17時半に来てくれないか、といった電話がありました。
次から次に押し寄せる予約を断れず、
早めにまわして2回転営業をする気だなとすぐわかりました。
しかし、摘み草と川魚、そしてメザシとご飯がウリといっても、
夜は数千円で終わる居酒屋価格ではない高額和食屋であります。
客を2回転まわす営業をして良いのだろうか。
ここにも、
「儲けられる時に儲けてしまおう」的な飲食店業界にありがちな、
安易な考えが透けて見えてしまうのです。
今の過熱人気が、未来永劫続くと思っているのでしょうか。
この世はすべて「山あれば谷あり」。
地道な営業が店の寿命を延ばすと私は考えるのですが、
やはり京都にも
「損して得取れ」の文言が載っている辞書はないようです。

<明日につづく>