第901回 ようこそ J.C.オカザワさん 5ル マンジュ トゥーと本山葵

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  • 2006年2月22日(水)
第818回で、オカザワ氏の「ル マンジュトゥー」でのやり取りを
話題にしました。
この店への評価といった点では、
たいしたことないフレンチ、ということで
オカザワ氏と私は一致しているようですが、
写真を撮らせろ、撮るな、で揉めたこと、
踏み込んだ論争かもう少し相手の言い分を引き出して
ボロを出させた方がよかったのではないかと
イチャモンつけたことに対するオカザワさんの反論です。


第818回・・その4
「ル・マンジュ・トゥー」での一件は、
まずウェイターとオーナーとの撮影禁止理由の不一致が問題でした。
それとオーナーのハナからの喧嘩ごし、
キレたのはワタシでなくて彼の方です。
脇でエヘラエヘラ笑ってるマダムも不快極まりない。
「踏み込んだ論争」とおっしゃられても、
あの狭い店に8割がたを埋めている
他のお客さんに迷惑この上ないでしょう。
皆さん耳をダンボにしなくても、われわれのやり取りは丸聞こえ、
そこで長々と論争なんて無粋なことはしたくありません。
「2千円前後の街場の鮨屋」であろうと何であろうと、
山葵を使わずして鮨屋を名乗るなかれ。
本わさびの原価など50円だいいところ、
千円ちょっとのちらしに本山葵を添える佳店もありますし、
「富沢町砂場」なんぞ500円のもりに、おろし立てですよ。
そこを認めてやらにゃ、
立派な職人さんたちのシゴトが仇花になってしまう。
それに粉わさび・ニセわさび・混ぜわさびはホンモノとはベツモノ、
食材の風味を損ねるだけのものです。
ドライとエビスの違いはあとにゆずるとして、
これだけは看過できないポイントです。
友里さんはそのあたりあまり頓着されないようですが、
双方の違いがお判りにならないとしか思えませんよ。
本が売れないのはいたし方ないこと、
それは売れるに越したことはございませんが。
まっ、あのゴッホの名画だって生前は売れなかったんだし、、
ハハハ、これはちょいと調子に乗りすぎました、
めんご。


シェフの谷氏と女性スタッフの対応には以前から私も疑問でした。
彼らと揉めたという話は、かなりの数聞きいています。
売れない大谷さんの本では、
谷氏の口癖に「オレは天才ではない」というのが紹介されています。
本人は謙遜しているつもりでしょうが、
大変な勘違いというか不遜な言葉。
自分で天才ではないが、「天才に近い」と考えているのでしょう。
普段から謙虚でそんな傲岸不遜な考えのない人は、
「天才」と言われる事の気恥ずかしさを感じるはず。
またそんなヨイショを額面どおりに受け取る人は
ほとんどいないでしょう。
そんな上辺のヨイショをまともに受けず、
わざわざ「天才でない」と打ち消すこともしないのが、
真っ当な人のはずであります。
勘違いした料理人には、
もう何を言っても無駄なのがわかりましたが、
ここまで増長させてしまった主因は、
彼らシェフとの仲の良さを自慢して店宣伝に勤しんだ、
犬養裕美子氏、大谷浩己氏など
自称フード・レストランジャーナリストたち。
もともと勘違いしやすい料理人の特性を考えず、
ひたすら自分たちの仕事に利用するため
ヨイショし褒めつくしました。
とんでもない性格の料理人を
何人もつくりあげてしまったのですから、
彼らの罪は大きいと考えます。

本山葵ですが、いいものは原価が50円ではないでしょう。
変な蕎麦屋のパフォーマンスにでる
「か細い山葵」ならわかりますが、
あんな山葵などないほうがマシというものです。
どうしてもオカザワ氏とかみ合わない部分でありますが、
私は高額鮨屋と数千円のすし屋を、
高級車とファミリーカーに例えてみます。
本皮シートは使い込むと味わいも出て使い心地もよい。
しかし、レクサスについているからといって、
カローラに要求するようなものではないか。
物には価格それなりのものというのがあると思います。
数千円でかなりのタネ質の鮨屋の経験はありませんが、
私の考えでは、ちゃんとした本山葵を使用したら、
山葵負けするのではないかと。
蕎麦はかなり減価が安いと以前書きました。
どんなに高い蕎麦粉でも、キロ千円チョイだとか。
それに水が主原料ですから、たとえ500円の蕎麦でも、
原価率は他の食べ物屋よりかなり安いはず。
そこへ、本物とはいえ、か細い山葵を加えても、
たいして粗利にインパクトを与えないのではないでしょうか。
マスヒロさんが歌舞伎座の吉兆で本山葵を使っていなかったと
糾弾していましたが、8千円の弁当ですからその指摘は頷けます。
しかし、カローラに本皮シートのごとき、
廉価なスシ屋に本山葵がそれほど重要なことなのかどうか。
私にはやはりわからない点であります。