第895回 六本木に続いてこれも駄目か、表参道ヒルズ

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  • 2006年2月16日(木)
オープンは11日ということですから、
このコラムが出るときは
既に訪問された方もいらっしゃることになるでしょう、
表参道ヒルズ。
高名な建築家、安藤忠雄氏の設計のようで、
設計費などかなりコストがかかってしまったと想像しますが、
建屋としてのCPはどうでしょうか。
コンペなどで名を上げた建築家の設計する建物が、
必ずしも使い勝手がよいものとはいえません。
コンペでは奇を衒うと言うか、斬新なデザインが必要でしょうが、
居住には外観はあまり関係ありません。
都庁ビルや某ゴルフ場のクラブハウスも不評だった
故丹下健三氏を出すまでもなく、
建築総費用の高さが必ずしも使い勝手のよさにつながりません。
あの奇怪なイタリアン「笄櫻泉堂」の建屋も使いにくいですが、
確か安藤忠雄氏のデザインだった記憶しています。
総建築費の高騰は、
そのままテナントの保証金や賃料に直結することになります。
メインの設計に高名な人を選んだと言うだけでも、
私はこの「表参道ヒルズ」に期待がもてないのです。

もう時効になったと解釈、
数年前にある飲食店関係者からいただいたメール内容を
簡単に開示します。
当時表参道への出店を要請されていたそうで、
森ビル側と何回かの交渉をもったとのこと。
森ビル担当者は「六本木ヒルズ」の問題点
(成功ではないということ)を自覚していたということでしたが、
新たなこの「表参道ヒルズ」に対する確固たる戦略を
森ビルは持っていないと嘆かれておられました。
この原稿はオープン前に書いておりますが、
先日オープン準備中の同ヒルズを訪問して、
ざっと入店予定の店をチェック、
この方のらしきお店は見当たらなかった。
賢明なご判断をされたのでしょう。

しかし幸先が悪いというか、本館1階の向かって右端、
結構目立つテナント場所ですが、
何か諸事情があったようでキャンセルされたか、
「テナント募集中」との紙がありました。
オープンまでに埋まる可能性はありません。
森ビルの威信にかけて、例えば自社出資でもして何か店を出して、
表面を繕えばいいものだと思うのは私だけではありますまい。

最近の森ビルだけではない
再開発ビルの出店の失敗例を見て慎重になったからか、
このヒルズには思ったほどの数の飲食店がありません。
また有名店、老舗店も見当たらないのです。
雑誌などでも確認しましたが、
「暗闇坂宮下」が何を勘違いしたのか洋食屋、
日本酒に拘っているという「はせがわ酒店」が居酒屋のような店、
出身がわからないイタリアン「ザザ」、
あとは野菜料理屋くらいのものでしょうか。
トラヤカフェを含めて後は、
カフェやバー、ベルギーチョコレートくらいしかありません。
飲食店の目玉が、
「宴会コース和食屋」の洋食版と日本酒卸の居酒屋ですから、
役者がまったく揃わないままのオープンです。
ざっと飲食店のラインナップを見て、
行きたい、チェックしてみたいと思う店が一軒もない
「表参道ヒルズ」。
出店して後悔する店が減ったと言うのは、
経営者や料理人が賢明になり、
飲食店業界にとってよい傾向ではありますが、
友里にとってはおいしいネタになりません。
もしかしたら、今回が最初で最後の取り上げになるかもしれません、
「表参道ヒルズ」でした。