第881回 「幸村」と特殊な関係があるのか、東京情緒食堂
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- 2006年2月2日(木)
月刊誌でありますが、同じ出版社から不定期に出る
「東京情緒食堂」もこれに劣らずベタ褒めヨイショ記事が満載です。
ビール会社やサニタリー会社との
飲食店タイアップ広告に飽き足らず、最近は
たくみにPR誌面を合間に挿入する手法が目立ってきております。
取材記事の合間に、
1頁をつかって飲食店を同じように大きく取り上げているのですが、
頁の下部には小さく「PR」の印刷があります。
店から依頼されたPRを、
チョット見には取材記事に見えるように配慮した、
そのしたたかな営業に友里は脱帽です。
しかし、ここ発売の3冊で
これはあまりに限られた店とズブズブすぎるのではないかと
呆れる特集が目に付きました。
連載という形をとっている「麻布“幸村”6年目の結実」。
副題として「残したいこと、伝えたいこと」とあり、
4ページ使って「幸村」主人の幸村純氏にスポットを当てた
特集記事を組んでいます。
連載は現在第3回ですが、まだまだ続くような気配もあります。
一回くらいの特集なら未だわかります。
元来が飲食店、料理人ベタ褒め雑誌ですからね。
しかし、幸村氏は
「残したい、伝えたい」ほど熟練で老齢な職人であるわけではなく、
単なるディフュージョン店である「室町和久傳」の元料理長なだけ。
東京に出店して、「東京最高のレストラン」関係の
胡散臭いフード・レストランジャーナリストたちに取り入って
宣伝してもらいブレイクしただけの店だと思ったのですが、
「東京情緒食堂」では
他店と違ってまったく別扱いであることが不思議であります。
ここまで他店、他の料理人と差別して、
入れ込んでスポットをあてていいのだろうか。
もともと客観性、公平性を期待する雑誌ではないですが、
あまりにえこ贔屓ではないかと。
よく知らない読者が読んだら
「何か物凄い料理人」だと勘違いする危険があると考えます。
人間の性格はそうは変わることはできません。
幸村氏の営業姿勢は、
拙著の第一巻を読んでいただければわかっていただけるだけに、
私はこの特集を見るたびに複雑な気持ちになるのです。
それにしても、幸村氏は東京生まれだとこの雑誌で知りました。
どうりで修行先から独立する場所を東京にしたわけです。
でも「東京出身」の料理人による東京の「京料理屋」と知ると、
余計に有り難味がなくなる気がするのは私だけではないでしょう。