第880回 小泉さんの通っている店の中ではまともか、津やま 2

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  • 2006年2月1日(水)
メニュー構成は割烹を越えてまさに居酒屋のようです。
食材的にもピンからきりまで、かなりの種類があります。
付き出し、お椀、刺身、焼物、煮物、ご飯ものなど
その品数は無茶苦茶多い。
キンピラ、卯の花からエビフライまで何でもありと、
品ぞろいは割烹料理屋を越えているといってもいいでしょう。
しかもすべての価格が表記されていません。
卯の花やエビフライも価格が書いていないんです。

基本は単品オーダーのようですが、
種類が多くて選ぶのが面倒な人には、
好きな食材を指定して適当にコース仕立てにもできるようです。
最初に出てきたモズク酢、塩辛、飯蒸しなどはまずまず。
造りはそれほどと感じませんでしたが、
この店で印象に残ったのは、冷やしトマト煮
(鴨のひき肉を詰めて冷やしたもの 初夏から夏の季節ものです)と
〆の鯛茶です。
鴨の旨みとトマトの甘みと酸味、そして冷たい食感。
山本益博氏風の文調を真似れば、
「正にそれらが渾然一体」となっておりました。
(こんな言い回し、
どの料理でも簡単に言い表せるヨイショ表現ですね)
鯛茶は梅干をいれているというゴマダレの塩梅が素晴らしい。
マスヒロさん風で言うならば、
熟練の職人が計算しつくした塩梅と言うのでしょうか。
銀座の「あさみ」や「うち山」は問題外としても、
西洋銀座吉兆、ぎんざ山路など鯛茶で有名な店と比べても、
個人的な嗜好かもしれませんが、私はこの店に軍配、
現在私はこの店の鯛茶が一番気に入っています。

しかし焼物はそれほどの良さを感じません。
鮎、牛ヒレなどを食しましたが、
期待するほどのものとは思えないのです。
ここでは焼物はパスしてもかまわないと考えます。
最後の恐怖のお勘定ですが、
単品ごとに積算していないのではないか。
客単価はある程度決まっていると想像します。
だいたいお勘定は毎回お酒をいれて一人3万円前後と
ほとんど一定でした。

<結論>
割烹と考えては高い店。
店に修業に来た一回り下の若い衆を
見事捕まえて跡取りにしてしまったと自慢する
若女将の豪快なキャラに圧倒されました。
若女将とのやり取りが嗜好に合えば、この価格も仕方がないか。
アフターコンサートの軽い食事にも対応するといった柔軟性、
小泉さんの通う店の中では、まずまずまともな店であるでしょう。