第87回 ソムリエの実力・実態 その10グラスシャンパーニュ

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  • 2003年8月13日(水)
一般にシャンパーニュ、スプマンテなど
泡物と言われているものは、フレッシュさが命です。
造られてから早く飲むほうがおいしい、と言われています。
特に、ヴィンテージのないものは、
瓶詰めされてから早い時期に飲んだほうが良いでしょう。
ビールと同じ扱いです。
しかし、ヴィンテージの入ったシャンパーニュで、
畑が特級ランク、または単独畑で
葡萄のポテンシャルがある場合は、
白ワインのように熟成させて
古酒としての味わいを楽しむ人もいます。
シャンパーニュの古酒にハマったら、
お金がかかりますから身上を潰す、という言葉もあるくらいです。

でも、一度抜栓してしまったら、
若いものも古酒もはやく飲み切ってしまわなければならないのは、
スティルワイン(普通の白、赤ワイン)と同じです。
ガスが抜け、味わいもなくなってきます。

最近店によくある、グラスシャンパーニュ。
今ほどフレンチ、イタリアンと店が多くできていなかった頃は、
このグラスサービスをするところが少なかったのです。
ワインブームの前は、頼む人も少なかったからでしょう。
一人や二人のために空けてしまったボトルは、
いくら密封しても何日も持ちません。
泡の勢いがみるみるうちに無くなってしまいます。
つまりせいぜいシャンパーニュは2日が限界で、
しかも翌日のシャンパーニュは、
かなり状態が悪くなっていると思ってください。
それでも、いくらかでも泡立つならば、
味わいを気にしないで出してくる店が大半です。
夜の早い時刻の入店で頼んでも、
半分以下になったボトルで注がれた経験が
皆さんにはあるはずです。

一般的に、ノンヴィンテージのグラスシャンパーニュの価格は
1200円から1500円でしょう。
仕入れはボトルで3000円前後のこの手のワインは、
つまり、3杯売れれば充分元がとれるのです。
ソムリエにもよりますが、8杯から10杯は取りますから、
グラスシャンパーニュがはける店はかなり儲かるはずです。

ビールはどんなに高くしても700円くらい。
粗利は500円ない程度ですから、
アピシウスのようにビールを置かず、
シャンパーニュを売って
利益を上げようとする店も出てくるわけです。
かなり利益幅があるのですから、
前日売れ残ったシャンパーニュは客に出さないとか、
せめてカクテルなどのベース用としてだけ
使用するようにしてくれれば、有難いと思う私です。