第88回 ダイニング系の繁殖について その2居酒屋とどこが違う

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  • 2003年8月14日(木)
最近特に多い和食系のダイニングを思い起こしてください。
黒などシックな基調の配色の内装で、
大きめなカウンターや個室が特徴となっています。
見た目は派手でお金がかかっているかのような空間に、
黒っぽい服を着たホールスタッフたち。
カウンター内の厨房スタッフたちも、
一般に言う板前姿ではありません。

このように似非高級感を漂わせた店内ですが、
以外にも料理の価格は安いのに驚かされます。
単品、コースと色々ですが、
居酒屋価格とそんなに乖離していません。
ただし、料理はどちらかというと和風の創作系。
おいしい、まずい、の範疇を超えた、風変わりな物が目立ちます。
コストを落とすには食材の質を下げるのが一番。
そのかわり、それをシンプルにそのまま出したら、
粗悪がバレバレですから、かなりの加工をしなければなりません。
ベースは和食でしょうが、
韓国テイスト、タイテイストなど色々味付けに工夫を凝らして、
元の食材のポテンシャルをわからないようにしています。
厨房スタッフもアルバイト的な人を雇うことで
人件費を抑えているのでしょう、
レシピがあれば簡単に造れるものが多いのです。

つまり、一見豪華と言うか隠れ家風、
でも料理の中身はテイストが違うにしても居酒屋レベル。
冷静に判断されるなら、
今ほどダイニングが流行るはずはないと思うのですが、
この内装や服装に客は混乱させられているようです。

「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」。
ダイニング系ではない純粋なフレンチ、
次郎を模倣したカウンター、パリの店もまったく同じ造り、と
横川潤氏は言われていますが、
ではなぜにコックコートを黒で統一する必要があるのでしょうか。
あの赤や黒の配色も、「次郎」など鮨屋からヒントを受けて
ロブションが考え出したといわれる新しいフレンチ形態とは、
まったく関係がないものではないでしょうか。
新しいフレンチ形態に、
ダイニングのテイストが必要とは思えません。
パリの店も、実際の出資者は
ロブションではないのではないかと私は考えます。