第867回 今では普通レベルのフレンチ、ミヤモト 2
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- 2006年1月19日(木)
ある程度の友里としての考えは持っていたのですが、
ジビエの時期、特に蝦夷鹿がおいしいとの
巷の評価が気になりました。
もしかしたら、ジビエの時期、
蝦夷鹿だけは傑出しているのではないか、
また早とちりしたら申し訳ないと考え、
昨年末の解禁日以降の再訪問まで評価を封印していたのです。
予定通り夜に蝦夷鹿を食する事ができましたので、
早速コラムに取り上げさせていただきます。
ランチでは3500円のコースで前菜がアラカルトから選べ、
1千円追加すればメインも単品メニューから選べるなど選択肢、
融通性はあります。
しかし、昼訪問時、未だ客が入っていないからといって、
ホールスタッフが客の席に座って談笑している姿には興醒めです。
営業時刻になったならば、
いつ客を迎えてもいいように身を引き締めていただきたい。
西麻布の「田はら」という
えらく高い居酒屋風の料理屋でも見られた光景ですが、
美しいとは言えません。
夜も6500円のコースにプラス2千円で蝦夷鹿に変更が可能です。
前菜が2千円前後、メインが3~4千円と、
普請の割に単品は高めですから、
同じ料理を食べられるなら
追加を払ってもコースを頼むのが無難でしょう。
ウリはアミューズ。
何の変哲もない10種の一口料理の盛り込みですが、
女性には受けそうです。
でも見た目が可愛いというか、
種類が多いだけでまったくたいしたものではありません。
そして3皿の前菜が続きます。
蟹とホタテのブランダードを、
中をくりぬいたトマトに詰めて「天道虫」に似せたものは、
やはり人気があるようですが、子供じみていて高級感がありません。
こんなもので客を釣るということは、
更なる上を目指していないと考えます。
見た目は変わっていますが、味は想像の範囲内。
フォアグラとトリュフの入った一口コロッケは、
中がスープ仕立てですが、
アクセントのポルト酒が強すぎる事があり安定していません。
江戸前穴子とフォアグラのワイルドライスも名物のようですが、
2回とも穴子が生臭く感じ、避けたい物のひとつです。
しかし、追加を払った蝦夷鹿は
質、調理法と傑出したものではないですが、まずまずのものでした。
しかし、これだけの為に再訪するまでのものではありません。
ワインはグラスシャンパーニュを含めて値付けは安い。
1万円前後でまずまずのブルゴーニュが揃えてあります。
適度に飲んで予算は二人で4万円以内でしょう。
<結論>
昔の名前でかろうじて持続しているフレンチ。
もうベテランの域に達したシェフの料理に勢いは感じません。
安定を好むお年を召した方には
無難な味付けの料理と言えるでしょう。