第830回 絶賛する業界人やタレントの舌が理解できない、大田原牛 2
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- 2005年11月29日(火)
由緒正しいものではないようです。
先週の「Dr.ユウキ」氏のブログをみて驚きました。
おそらくこの業界の関係者らしき人からの投稿を
掲載しているようで、
「大田原牛」の素性がばらされておりました。
わずか3軒の農家で育てられている普通の黒毛和牛だとのこと。
昨日、松坂牛や神戸牛の高級モノは処女牛だと書きましたが、
この「大田原牛」は「オス」も堂々と認めているようなのです。
メスに限定していません。
「大田原牛」のHPの下の方に、
仔牛の登記証明書が載っているのですが、
クリックして拡大しますと、
「雄」や「去勢」の文字が載っているのです。
大田原牛は「熟成」を過剰にうたっていますが、
熟成させるとその方の経験から、
脂肪の融点が低くなり「メス」の肉に近い質になるそうです。
よって安い「去勢」でも
雌牛の品質に上辺の味わいでは近づくようであります。
BMSという能書きにかく乱され、
熟成させて雌牛に上辺の味わいを近づけた、
脂ギトギトの雄牛を来栖王様は絶賛していたのかもしれません。
とにかく、仔牛の段階での取引では、
格段に安い「雄牛」が、栃木の3軒の農家で「大田原牛」として、
100グラム何万円もの超高額牛に
ロンダリングされてしまうようですから、驚きです。
しかし、大黒屋総本家も脇が甘い。
どうせHPに証明書を載せるなら、数が少ないのかもしれませんが、
ちゃんと「雌牛」にしておけばバレなかったはず。
もしかして、雌を載せたくても、
「大田原牛」には「雄牛」しかいないのか、
といった疑問も沸いてきます。
同じく絶賛していた一昔前の世界一ソムリエ・田崎さんも、
この内幕をご存知ではなかったのでしょう。
当時私はすぐさまその「カサローエモ」へ駆けつけたのは
いうまでもありません。
清泉女子大近く、「ヌキテパ」の近くの喫茶店みたいな店構え。
威圧的なマダムの存在もこの手の店では必要充分条件でしょうか。
まずはランチで大田原牛を試してみようと
3千円の100%大田原牛ハンバーグをオーダーしました。
しかし出てきたそのハンバーグは
見ただけで食欲が萎えるものでした。
鉄板かフライパンのような物で焼いているのでしょうか。
溶けた脂をそのまま皿に注いできているので、
脂でベチャベチャなのです。
塩・胡椒だけで焼いていて、
このベチャベチャ脂がソースだというのですから気持ち悪い。
しかし、そのハンバーグ自体にはあまり塩・胡椒を感じず
脂っぽいだけで、本来の肉の味を感じないもの。
つなぎにかなり玉葱も入っていました。
最後に残った脂にご飯と大根おろしを入れて食べさせられたのにも
閉口したものです。
なんで溶けた脂をわざわざ食べなければいけないのか。
勿論こんな変な料理を出す店で、
夜に5万も6万も支払う必要なないと判断して、
再訪はやめておりました。
ところがその「大黒屋総本家」が直営する
「大田原牛超 麻布十番本店」が麻布十番に出来たと聞きました。
「東京情緒食堂」では、
店や料理人の「能書き」をまともに信じてしまい、
脂っこいもの大好きな来栖王様も
10万円ステーキを絶賛しているのを読み、
私は料理店関係者の知合いを無理に誘って今秋突入したのです。
「大田原牛超 麻布十番本店」の入り口には、
赤地に黒文字で大きな店名ロゴを配していて、
まったく高級感がありません。
中華街のパッとしない中華料理店のような店構え。
栃木のセンスをそのまま十番へ持ち込んでしまったようです。
麻布十番駅から徒歩数分、
バブリーなビルの一階で
たしか以前はカフェかバーのようなものがあったと記憶があります。
その為か、ガラス張りの外装は改装のしようがないらしく、
外からホールが丸見えなのは致命傷ではないでしょうか。
そして頼みもしないのに閉塞感ある個室へ案内された理由は、
ホールに客が1組しか居ない惨状を
我々に見せたくなかったからと推測。
この時点で、やはりこの直営店も期待できないと判断した次第です。
<明日につづく>