第814回 ワインの諸々 80インポーターなど仕入先の開拓は必要だ

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  • 2005年11月13日(日)
先日、あるお店の方とやりとりする機会があったのですが、
最近はワインの購入が難しいとのこと。
店のリストにあるやや古めのよいワインは
どんどんと客に飲まれてしまって、
新たに同じような価格と銘柄、質で提供する事が
難しくなったというのです。
私が推測するところ、フレンチやイタリアンに限らず、
和食も含めて、酒類は
出入りの業者にまかせっきりの店が多いのではないでしょうか。
本業である料理では、今は「食材競争」でして、
他店より少しでも良いもの、質の良いもの、新しいもの、
変わったもの、を仕入れようと高額店は躍起のはずです。
他店との差別化が調理法より食材自身に重点が置かれ、
注目されているからですが、
「どこどこ産の・・・」といった事を重視する風潮は、
マスコミと鮨ボーイズたちの影響もあったと思います。
ネタの対象を、料理店や料理人だけではなく
食材や産地に広げることによって特集をバンバンうてる出版社。
修行経験の短さを、タネ質でカバーしたい若手鮨職人。
両者の思惑が一致した結果ですが、
古手の職人や、老舗和食、イタリアンやフレンチまで、
この食材競争に巻き込まれてしまい、
仕入コストとその手間に追われているようです。

ですから、ワインの仕入ルートをいくつか開拓する余力、
暇があまりないのではないでしょうか。
ソムリエなども若手が多くなり、技量不足も目立ち、
経営者がワイン全般を任せられなくなっていることも考えられます。

よって、時が経つにつれて、
段々とリストのラインナップの見映えが悪くなり、
価格も上昇してくるというのが現状です。
でも、ネットの無店舗販売など小売業者のほか、
飲食店を主に対象にしている
無店舗インポーターも存在しております。
最近は輸送や保存状態も気をつけられており、
しっかりした会社であれば規模の大小に関係なく
品質はよく安定しているはずです。
ある古くからの大手インポーターは、
リーファーコンテナを使用していないというのが
業界では有名なくらいですから、
かえって新興勢力の方がいいかもしれません。
そのような
リーズナブルで古酒も含めた状態の良いワインを輸入する会社は、
都内の店でシェアを伸ばしているとも聞いています。
料理店の経営者も、一つや二つのルートに執着することなく、
よりよい仕入れを開拓していただければ、
よりリーズナブルに
良いワインを客に提供できるようになると考えます。