第79回 ワインも料理も先入観

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  • 2003年8月5日(火)
ワインは、何の先入観も持たずに楽しむべきだ、
「ブラインド」で飲むべきだ、
ということを主張される方がいます。
ワイン会などで、レア、古酒を用意されていても、
先にワイン名などを開示せず、
各自にテイスティングで考えさせた後発表するのですが、
これが大変疲れるのです。
集中力をもって飲むことになりますが、
周りのメンバーへの見栄もありますから、
「何とかワイン名を当てたい」と必死になるのは
心情的に理解してください。
でも、たいがいはせいぜい品種くらいで、
畑名やヴィンテージなども当たらずに終わるのが落ちです。
実際、まぐれで当たることもあるのですが、
それが何だ、というのが私の考えです。

「ワインは先入観」。これが私の結論です。
ブラインド信奉者でも、「ロマネ コンティ」を、
飲んだ後から通告されたら不満を持ちます。
これから「ロマコン」を飲むんだ、と意識してから飲みたいのが
本当のところのワイン好きではないでしょうか。
どうせ高いお金を払って飲むのですから、
ラベルを確認し、素敵なレストランで、大振りな薄いグラスで、
おいしい料理とともに味わいたいのが本音でしょう。
オタクのように、パンとチーズで、
小さいテイスティンググラスで1杯だけ、
「ロマコン」や「シュヴァル ブラン」を
ブラインドで飲んでもちっとも楽しいことはないのです。

それと同じく、料理も先入観に左右されます。
料理評論家、フードジャーナリストが絶賛、
もしくは有名シェフのお勧めの店は、
どうしても下駄を履いたような状態で味わうことになります。
その道のプロ?が褒めているのだからおいしいはずだ、との
先入観から普通の料理でもおいしく感じやすいものですし、
たとえ並みに感じたとしても、
それは自分が間違っているかもしれないと、
封印してしまうことも多いでしょう。
確かに、3つ星店の料理を
「ブラインド」で食べても楽しくありません。
これから3つ星店に行く、カリスマシェフの料理を食べる、
と意識してこそ楽しみがでるのは事実です。

でも昨今、あまりに店、料理人に迎合しすぎた
ヨイショ評論が多く、彼らの評価と実際の味わいとのギャップは、
その先入観からの下駄履きをも吹っ飛ばすほどになっているのも
多いのです。

有名人が褒めていても、雑誌が勧めていても、
うまいものはうまい、まずいものはまずい、と
本音をはっきり主張することが必要だと思います。