第783回 京都の店も独立ラッシュ
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- 2005年10月13日(木)
そして21世紀に入ると40歳前後の和食の料理人たちの独立が目立ち、
ついには30歳前後の鮨ボーイズたちの鮨屋の出店ラッシュが
東京を中心に続きました。
今年からは、犬養裕美子さんや大谷浩己さんが仕掛けているようで、
若い中華の料理人たちの独立が無理に騒がれているようです。
中には20歳代前半の中華の料理人も登場してきました。
独立する料理人の歳がかなり若返ってきたというか、
昔の常識からはまったく考えられないほど
安易に独立出来てしまうようです。
昔は、20年、30年勤め上げ、ようやく暖簾分けしてもらって
開店資金の都合をつけて小さな店がだせる、
というのがお決まりでした。
しかし時代の流れは
大きく今までの常識を押し流してしまったようです。
数年の修行、もしくはまったく修行経験のない30歳前後の鮨職人が
銀座や六本木に店を出してしまうこの風潮は、
もう珍しくも何とも感じなくなりました。
そんな東京ですが、京都も独立ラッシュが続いているようです。
たいした味でもないのに
観光客たちに人気の祇園の小さな和食店に刺激されたのでしょうか、
大所から熟練料理人の独立としては、
東京在住の私でも知っている「炭屋」からでた
建仁寺近くの「てら川」や
「京都吉兆」の総料理長だった料理人が開いた
円山公園内の「未在」など。
しかし彼らベテランではなく、
やはり30歳前後の若手料理人の店も
京都で目立ってきているようです。
「花霞」、「江口」など
客単価2万円する高額和食も珍しくありません。
一切マスコミやネットの露出を避けている祇園のあの店も、
東京出身の主人のようですがこれまたかなり若いはず。
私が安くて気に入っている
先斗町の「そったく つか本」は1万円前後ですが、
同じような店名の銀座「馳走 そったく」とは別次元、
東京の料理人も見習ってもらいたいものです。
ではなぜこんなに簡単に若くして独立できるのか。
オヤジさんや若い人の気質が変わってきて、
出し惜しみせず最初からノウハウを教えるので
習得が早くなってきていることもあるでしょう。
昔は鍋底に残った出汁なりソースを
隠れて舐めて覚えたとも聞きましたが、
今はフランクに教えてくれるのでしょう。
大店ではなくこじんまりした店が主体ですから、
弟子が少なく重要な調理も手伝わせなければならない、
といった理由があるのかもしれません。
グローバルスタンダード化してきたので、
勝ち組のごく一部の富裕層がより富裕になり、
そうした意気込みのある料理人のスポンサーをかってでることも
多くなったのではないでしょうか。
昨今のグルメブームは、グルメにあらずばセレブでない、
といったものを感じてしまいます。
プロ野球やゴルフ場のオーナーは無理でも、
飲食店のオーナーくらいならなれる、
といった見栄が働いている可能性もあります。
また、昔からの老舗飲食店の息子が
親の援助を得て独立するというパターンもあります。
特に次男の場合はこのケースに当てはまる事が多いでしょう。
しかしこれほど乱立してしまっては、
正に玉石混交、
客側としては良い店を選ぶのが
ますます難しくなってきたと言えるでしょう。
自称フード・レストランジャーナリスト、自称料理評論家たちが、
原稿料稼ぎで無理して店を探し出して宣伝してしまう現在、
一般客の判断は非常に難しくなってきていると言えます。