第74回 なぜ高い「イゾラ」チェーンが流行っているのか
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- 2003年7月31日(木)
瞬く間に都内に多店舗展開してきた「イゾラ」チェーン。
出資は「グラナダ」という、
「リストランテ キオラ」(麻布十番)や
ミラノの2つ星イタリアンの出店「サドレル」(六本木ヒルズ)
などを幅広く展開している会社です。
白金店のほか、銀座にも数店、そして丸ビルなど、
気安く入れるはずのピッツェリアが
結構満席でなかなか入店できません。
特に集客力が落ちてきたと言われる「丸ビル」でも、
この店は未だに行列が形成されています。
各本支店によって多少の価格差がありますが、
原価率の低い「マルゲリータ」を考えてみましょうか。
生地台にトマトソース、モッツァレラに
数枚のバジルを乗せたものですが、1600円~1900円です。
ピッツァの窯職人はどうみても若い、
あまり経験を積んでいるようには見えない人たち。
街場の「トラットリア」、「ピッツェリア」では、
この「マルゲリータ」が1200円前後で売られていますから、
「イゾラ」はかなり強気の価格設定のはずなのです。
でも、各店は若い人を中心に連日満席。
なぜ流行るか、以前から不思議だったのですが、
拙著で「イゾラ」を取り上げ高過ぎると述べようとした時、
編集担当者から意外な発言を聞かされました。
「ピザーラなど宅配ピザでも2千円前後ですから
高くないのではないですか」。
目から鱗でした。
もともと「ドミノピザ」に始まったこの宅配ピザ、
30分以上配送にかかったら500円バックするのがウリでした。
つまり、アルバイトの配送料金として
500円以上が上乗せられた価格体系なのです。
このキャッシュバックシステムは、
配送員に危険だとして一方的に廃止されましたが、
価格体系はそのまま残ってしまったようです。
普及してしまった宅配ピザの価格を標準として考えてしまったら、
窯で焼きたてで食感が良い同価格、
もしくは安い「イゾラ」のピッツァが高くない、と
感じてしまうのだと思います。
「イゾラ」のピッツァに、巷の安い店との価格差を納得させる
傑出したものを感じませんが、
料理価格よりかなり高いワインを豊富に揃えているのは必見です。
支店によっては、絶対額ではかなり高くとも、
一般の仕入れ価格と比べたら
割安な値付けのワインに出会うこともあります。
ピザで高級ワインを合わせて飲む事に、
違和感を持たなければの話です。