第706回 行列が出来るのが不思議、美登利寿司

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  • 2005年7月16日(土)
最初は梅が丘だけにあった寿司屋のはずが、
いつの間にかかなりの規模にチェーン展開してきました。
地元ではおいしい寿司屋との評判でしたが、
その評判、人気を背景に、
梅が丘で2号店、3号店の展開だけでは飽き足らず、
渋谷はおろか銀座にまで進出、
しかもほとんどの店が常時行列をつくるほど盛況なのには驚きです。
銀座店など、昔はリーズナブルで人気だった
近所の同じチェーン展開の寿司屋が、
モロに影響をうけ客をとられて苦戦しています。

これだけ流行っているという事は、
寿司がおいしくて安いのでしょうか。
穴子の一本握りとか、その他のタネも大きいことが
ウリの一つであると聞きました。
行列が客を呼び、また更なる行列を形成するという循環作用で、
飛ぶ鳥落とす勢いの美登利寿司。
私はわざわざ行列に並んでまで入って試す気はしなかったのですが、
11時過ぎ、オープン直後
カウンターが一人分かろうじて空いているのを見て、
思い切って飛び込みました。

千円から3千円くらいまでの
握りや吸い物などを含めたコースのほか、お好みにも対応します。
サラダや焼物などツマミの種類も多い。
お好みで寿司は1貫から握ってくれるというのは
同じような位置づけの「三崎丸」や回転寿司よりは
使い勝手がよく有難い。
105円のコハダ、アジから、中トロ210円、
特選本鮪トロ420円に、最高は穴子一本付け630円と
回転寿司とそれほど変わらない価格なのには驚きました。
そこで、私はお好みでツマミと握りを適当に頼んだのですが・・・

この店は質とか味より1品のボリュームで客を呼んでいるようです。
刺身の鰯、ホタテの浜焼きと質や味付けは疑問ながら量は多い。
サラダは刺身が入っていてドレッシングもくどい。
刺身は余計な気もするのですが、これが受けるのでしょうか。
握りもタネが全体に大きいというか長く、
酢飯?を包み込むどころか縦長に垂れ下がっています。
ボリュームでお得感を出しているつもりでしょうが、
ウリの穴子は大きすぎて不気味なほど。
昼食ということと、
サラダなどでおなか一杯になってしまったからかもしれませんが、
握りも適当に頼んでビールにお酒2本で
5千円もかかりませんでした。

確かに「鮨」として食べられるなら、
この価格なら申し分ないCPなのですが、
ボリュームといった特徴を除くと、
他の住宅街の寿司屋との違いが果たしてあるものかどうか。
以前にも述べた、高額鮨屋(高額寿司屋)と
回転寿司との中間である街場寿司に位置する店と思いますが、
タネ質、酢飯ともに
その他の街場寿司屋より傑出しているものなのかどうか。
タネが大きいという事は、
1貫ずつ対応してくれても種類をあまり楽しめないことになります。

江戸前鮨とはまったく別物、
どちらかというと高級回転寿司に近い握りの技量とタネ質と判断、
若干支払いを上げれば、
タネ質のより良い寿司屋「・・・勘」などの方が
まだ食後感も上だと思いますし、
同じような価格の街場の寿司屋と
果たしてそれほどの違いがあるのかどうか。

色々なタイプの寿司屋(鮨屋)を経験し、
評判や先入観にとらわれなければ、
あの長蛇の行列に並んでまで
無理して食べに入るといった考えは浮かばないと思います。
近辺のそこそこの街場の鮨屋、
他のチェーン展開寿司屋との食後感に
それほどの違いはないでしょう。