第689回 あの店は今・・・みかわ けやき坂通り店 2

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  • 2005年6月29日(水)
夜は1万円コースのみ。
以前はいくつかコースがあったと記憶していますけど。
今回初めて気がつきましたが、
大根おろしは開店時刻から
擂りっぱなしのものが放置され続けています。
安い天麩羅屋ではないのですから
まったくの手抜きと言えるでしょう。
日本一の天麩羅職人の分店にしては脇が甘い。

ほとんど実戦の経験がない新しい揚げ手でありますが、
天才といわれる早乙女主人と天麩羅自体はあまり変わりません。
焦げ目の強い、脱水しすぎた旨みのない海老や白身が続きます。
楽亭など山の上ホテル出身系の店では
考えられないくらい焦げており、
早乙女氏は本で色々薀蓄を言っているのですが、
この店では違ったネタ、
たとえば海老の兜と野菜を同時に揚げる禁じ手をしています。
油は胡麻油と綿実油のブレンドですが、
客が1回転以上しているのに(キャパは20人近い)
交換を確認できたのは20時前に1回のみ。
相変わらず油の交換には慎重です。
師匠と同じく、海老は尻尾を左上にして出しますから、
右利きの客は箸で持ち替えなければなりません。
他店ではありえないことです。

食材的にもこのコース価格は割高でしょう。
海老は2尾のみ。
兜がつくとは言っても普通3尾以上はでる価格帯のはずです。
魚3、旬物1、イカ2に野菜が2種であとは掻揚げ。
量、種類そして質とも不満です。
ただしお酒は安い。
1合が630円なのでビールに適度なお酒を飲んでも、
夜は1万3千円前後で終わりました。

20時頃、大きなガタイの男性が女性と二人連れで入ってきましたが、
予約をしていなかったからか断られて
すごすご出て行く光景を目にしました。
「みかわ」があるマンションに住んでいる首相経験者でしたが、
差別せず断った女将さんを少し見直した次第です。
帰り際に隣の「パ マル」を覗いてみたら、
わずか数組の客の一員として寂しく食事をして首相経験者夫婦。
しかし、彼らの外食は、
本当に議員報酬の可処分所得からの「自腹」なんでしょうか。

<結論>
早乙女氏は本ではなんだかんだと偉そうなことを言っていますが、
油は変えない、
違ったネタを同時に揚げる(揚げる温度の違いが実はない)、
高温すぎるのか焦げ目が強い、
ポッと出の若手と天才の天麩羅がたいして変わらない、
など実態を冷静に見てしまうと、
なぜここまで過大評価されているのか不思議です。
勘違い作家、
でしゃばり料理学校長の犯した罪は大きいのではないでしょうか。
でも、けやき坂通り店は別にして、
「天才?」が挙げる茅場町店は今でも超満員です。
マスコミに無理に作られた神話はまったく信用できません。
業界人だけではなく、文化人と称する人たちの舌にも疑問、
本当に味がわかっている人たちなのでしょうか。