第690回 ソムリエ・渋谷さんのコラムを読んで

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  • 2005年6月30日(木)
読者の方から、
久々に友里のことを書いているコラムがあると教えられました。
飲食店が協賛していると思われる「味の手帳」6月号の
「ソムリエの呟き」というコラムでして、
書き手はソムリエの渋谷康弘さん。
デュカスとシャネルのコラボであるフレンチ、
「ベージュ 東京」の総支配人と言った方が
今は有名かもしれません。

そのコラムで、昨年末の日刊ゲンダイで私が2日にわたって書いた
「日本を舐めているのか、ベージュ東京」
についての感想を述べられております。
時同じくしてこのコラムでも載せましたが、
やはり夕刊紙の方が認知度は高かったようです。
友里と実名を挙げずに
ただの「ライター」と言われているのはちと寂しい。
そこらのライターとは一線を画す、
ポリシーある「コラムニスト」(笑)と自負していたのですが、
まったくメジャーでないことをあらためて再認識させられました。
結構この業界から敵対視されていると勝手に思っていたのですが、
その存在すら知られていなかったということでしょうか。

ところで、最初は
「レストランを少しもわかっちゃいないライターが、
好き勝手なことをいっているだけじゃないか」
と怒りで手の震えが止まらなかったそうですが、
最近は、
「単にお客様の視点から見て感じたことを、
事実として素直に記事にしているだけなのだ」
と思い直して今は時々読み返しているそうです。

私もその原稿を久々に読み返してみました。
電話応対の稚拙さ、店からのリコンファーム時刻の非常識さ、
ボエムと同じ無線マイクやイヤホンをつけたスタッフの存在、
ワインの値付けの高さ、
以前のデュカスの店「スプーン」の閉店と
その当時のシェフのカムバック。
コース料理では食材の種類の少なさに、スタッフの手際の悪さ。
など、すべて事実しか書かず、
私の仲間だけでなく、ライター関係者の方からのご意見も
同じものが多かったのですが、
それを書いただけでレストランの事がまったくわからない、
と言われてしまっては私も手が震えてしまいます。

でも最後まで読み通したところ、
今は「客の立場でみている」と理解いただいているようで、
ブランドに胡坐をかいていたのかもしれないと
反省されていたのには驚きと共に感心させられました。
私のこの2年の友里経験から、飲食店関係者はなかなか意固地で、
素直に意見を受け入れる人が少ないと感じていましたから、
彼は例外なのでしょうか。
店側ではなく客側にたった見方、料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちを喜ばせるのではなく
客を満足させることの必要性、
このことを再認識していただいたようなので、
ベージュ東京が如何に変貌したか、良くなったのか、
再訪問してみたくなりました。
コースはイマイチだが、アラカルトは最高だ、
と知人から聞いた事があります。
友里再訪の際は、アラカルトに挑戦したいのですが、
そうするとばれてしまうでしょうか。

最後に渋谷さん。
昔、狸穴ちかくの「ル セップ」という
スローフードがウリの彼と奥さんの店に行ったことがあります。
その時彼は、まだインターコンチに勤務していましたが、
今はベージュ勤務。
「セップ」は下北に2号店を出すほどの盛況のようですが、
渋谷さんは昔から兼業が好きなようですね。
でも、両方とも全力投入できているのでしょうか。
ベージュで現場の最高責任者としての激務のかたわら、
自分の店2店舗まで客の満足を与え続けられるほど、
余裕があるのかどうか疑問です。
自分の店を持ちながら、大型有名店への勤務。
格や価格帯は違いますが、
いわばライバル関係にもあたる3店の掛け持ち、
利害が一致するとは思えず相反する場合もあるのではないかと。
フレンチ業界のコンプライアンスは
かなり甘いといえるのではないでしょうか。
ライター友里からの再度の問題提起でした。