第669回 話し出したら止まらない、エム ディー ピュー 2

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  • 2005年6月9日(木)
夜は6825円と8900円のコースを主体に、
アラカルトが2~3千円です。
価格は都内のイタリアンでは、中の上くらいの設定、
誰でも楽しめるコンセプトにしてしまったからか、
シェフの特徴をまったくこの
「お決まり」のメニューからは感じません。
実際誰にでも受け入れられる、日本風イタリアンでありまして、
地方色がでていないのです。
しかし知る人ぞ知る室井氏は、
イタリアは北、特にピエモンテ州の料理の第一人者のはず。
コンセプトを間違えたのか肝心のウリが全面に出ていません。
よってどこにでもあるような、平均的な料理になっております。

しかし、私は知人の企画でシェフのピエモンテ料理を主体にした
お任せ料理を食べる機会がありました。
バーニャカウダも手の込んだスープのようなもの、
巷の野菜スティック用の
アンチョビとガーリックのオイルではありません。
パスタやリゾットも
昼や夜のコースでみられるものと物が違っていましたし、
メインの牛テール煮込みも
ポルチーニや白トリュフソースをつかって
地方色が良く出ていておいしいものでした。
これらは、料理評論家への特別料理ではなく、
既成のコース料金にプラス数千円、つまり1万数千円で、
ある人数をそろえてあらかじめ予約しておけば、
東京で地元に近いピエモンテ料理が誰でも食べられます。
ただし、説明好きの室井氏は、
調子に乗ったら何十分でもテーブル脇でしゃべり続けます。
嫌味はなく感じも悪くはないのですが、
お付き合いできる気長さが客にも要求されるでしょう。
ワインは、種類は多くないが
値付けは小売の1.5から2倍以内で普通です。

<結論>
誰でも頼めるメニュー外の特別料理を頼まなければ
このシェフの持ち味はわかりません。
聞き上手な方で、巷のイタリアンに飽きた方はぜひ挑戦を。
しかし、
二度目も同じ煮込みが出たという知人からのレポートもあります。
ピエモンテ料理はメインの種類が少ないのでしょうか。
事前に入念なメニューの打ち合わせが必要です。
来年も三越のフェアにでるならば、
気合をいれて出店してもらいたいものです。