第658回 ワインの諸々 その58ドンペリ泥棒

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  • 2005年5月29日(日)
あっという間にTVニュースから消え去りましたが、
当日は結構どの番組でも取り上げていた、
関西方面で捕まったという「ドンペリ泥棒」。
アナウンサーやコメンテーターは、
さも「最高級なお酒」と紹介していましたが、
本当にわかっている人が何人いたのか。
発泡酒の一つである「シャンパーニュ」ということもご存じない
番組関係者もいらっしゃったかもしれません。
店ではノーマル(白ということでしょう)で3~4万円、
ピンク(ロゼ)で10万円、
ゴールド?(多分、レゼルヴ ド ラ ベイ)で
15万以上といっていました。
この価格はまともなお店ではありませんね。
いわゆる「夜のお店」価格と推測します。
銀座のクラブ、高級キャバクラ、ホストクラブなどには
まったく不調法な友里征耶なので詳細はわかりませんが、
これらの店では、
このドンペリを頼むことがステータスとなると言うことでしょうか。
被害額を盗まれた本数で割ると、
必ずしもこのような高額にならないことは
TVを見ていればすぐわかることですが、
未だに「ドンペリ神話」が健在だったとは恐れ入りました。

確かに安定したクオリティで
おいしい部類のシャンパーニュだと思いますが、
人それぞれ好みが違いますから断言しませんが、
同じような質、もっとおいしいかもしれないシャンパーニュは
他にも沢山あると思います。
世界的には、
「クリュギスト」なる名称のファンをもつクリュッグの方が知名度、
評価共に高いと思うのですが、
なぜに日本ではここまで有名になってしまったのでしょうか。
友里征耶流に推測しますところ、
昔は輸入されていた「シャンペン」は
これしかなかったのではないかと。
私は格好つけて「シャンパーニュ」なんて言っていますが、
以前は一般に「シャンパン」、
そしてもっと昔は「シャンペン」で通用していました。
おそらく、
生産量が多い「ドンペリ」が「高級なシャンペン」として輸入され、
銀座のクラブに出入りする経費族に
珍しいので高く売れるということで、
今の地位が確立されたのでしょう。

しかし、実際の価格は古酒でないかぎり
1万円を超えるものではありません。
インポーターの仕入れ価格、
いや、小売業者の仕入れ価格でさえ具体的数値を聞いたら、
高級品というイメージをもてるかどうか。
その価格を知っていたら、捕まった人も
わざわざドンペリを盗もうとは考えなかったと思います。